
AIロボットとヒューマノイドが進化することで、未来は面白くなりそうですね。

AIが高いレベルで統合されることによって、未来のAIロボットとヒューマノイドは、人間の生活に深く関わる存在へ進化するでしょう。
自分で判断しながら行動できるAIロボットやヒューマノイドは、従来の一律的な動作をするロボットとは異なる存在で、サービス業・製造業・農業・医療・家庭・建設現場など、多分野での活躍が大いに期待されています。

特に、人間に似た姿をしているヒューマノイドは、これまで人間が行ってきた活動を代替する存在として開発が世界で激化している分野で、大企業やスタートアップ企業が力を入れていることでも有名です。
今回は、世界で開発競争が加速する「AIロボット・ヒューマノイド」分野の取り組みと実例、未来予測と課題を取り上げながら、近い将来に日本が輝けるかもしれない「未来予想図」もAIと一緒に考えていきます。

それでは早速見ていきましょう!
AIロボット・ヒューマノイド分野の取り組みと実例、未来予想図と課題をAIと考察
AIロボット・ヒューマノイドについて
ロボットのはじまり
「ロボット」という言葉は、今から100年以上前の1920年に生まれました。そこから時代を経る毎に、語義は微妙に変わっていき、現在は「人間の指示やプログラムに基づいて物理的な作業を行う機械」を指す言葉として用いられています。

日本初のロボットとして有名なのは「学天則 (がくてんそく・制作:西村真琴氏)」で、1928年(昭和3年)に昭和天皇の即位を記念して開催された「大礼記念京都大博覧会」で、大阪毎日新聞社によって公開されました。
学天則は、実用性よりも象徴性や創造性を表したものでしたが、その後日本は第二次世界大戦後の産業用ロボットの導入や、アニメ文化に影響された人型ロボットの追求、そしてAIロボット開発へシフトしながら現在に至っています。

私はSF映画やアニメでロボット文化に親しんできました。
AI非搭載ロボット
現在のロボティクス分野では、ロボットという言葉を一般的に「センサー」「制御システム」「アクチュエーター (モーターなど)」から成るシステムと定義しており、その形状と能力には様々なバリエーションが存在します。

一般的なロボットには、事前に用意されたプログラムをハードウェア上で実行するという共通点があり、決められた行動を目指して動きます。搭載されたセンサーで周囲を感知して、状況に対応できるロボットもいる点が特徴です。
ロボットは、「自動化」や「効率化」の側面で人間に大きな恩恵をもたらしますが、そこに「人工知能 (AI)」の能力を加えることによって、これまで以上に柔軟な行動を取れるようになった存在を「AIロボット」と呼びます。
AIロボット
従来のロボットがある意味で「あまり融通が効かない」存在だったのに対し、AIロボットは「環境認識」「学習能力」「タスクの効率的な実行」という、「人間に似た能力」を備えている点で大きな違いがあります。

周囲の環境を確認・認識しながら、「どうしたら効率的に自分のタスクを実行できるのか」を自分自身で考え、実際の経験から学ぶ「自己学習」を積みながら成長もできる。これがAIロボット最大の特性と言えるでしょう。
全てのAIロボットが完全に自律的な動きをするわけではありませんが、特殊な状況下でも「応用が効く」という点、そして自分の動き方を経験から改善できるという点で、AI非搭載ロボットとは異なる次元の動きを達成します。
AIロボットの代表例
日常生活をサポートする「お掃除用ロボット」や「ペットロボット」などの家庭用ロボットには、AIロボットも含まれます。お掃除用ロボットの代表格として知られる「ルンバ」は、2020年から本格的にAIを搭載しました。

製造ラインで組み立てや検査作業を自動的に行う「産業用ロボット」、ホテルの接客業務やレストランで給仕を行う「サービスロボット」にも、AIロボットが含まれています。これらは我々の身近な存在と言えるものです。
現在は「物流」「製造」「建設」「医療」「農業」「サービス業」でAIロボットの開発・導入が進められており、この動きは今後世界的な広がりを見せていくと予想されます。各国の取り組みが大いに期待されますね。

身近な場所でAIロボットを見かけることも多くなってきました。
ヒューマノイドの必要性
なぜ人間の姿をしたヒューマノイドが必要とされるのか。それは、家庭や職場、病院や学校などで、人間が使う道具やスペースにロボットたちが適応するには、「人間に近い形状」が最も有利だと考えられているからです。

今まで人間が構築してきた既存の社会環境へ物理的に溶け込みながら、人間に協力して様々な分野で自律的に考え、与えられたタスクを着実に実行する能力を持つ「人間のパートナー」的存在が、ヒューマノイドなのです。
AIロボットとヒューマノイドの研究開発は、現在世界で最も激化しているテクノロジー分野と言えます。そして、現時点でヒューマノイドの研究開発分野をリードしている国家はアメリカと中国の2カ国で、他国がこれに続きます。

ヒューマノイドは「人間に似た姿」をしているので、親しみを持てる点も魅力ですね。
「AI産業革命」との関係性
AIロボット・ヒューマノイドの進化と台頭は、「AI産業革命」の一端を担う可能性を大いに秘めていると考えられています。AI産業革命とは、AI技術が経済・文化・社会のあらゆる側面に影響を与える「大規模な変革」のことです。

自動化と効率化以上の働きをするAIロボット・ヒューマノイドは、「不足する労働力の代替」として効果的で、導入することによってAIロボットの運用・保守・管理など、人間向けの「新たな職業概念」も生まれます。
人間から既存の仕事を奪うのではなく、各業種の労働力を補いながら、同時に「新たな雇用機会」も創出し、人間とAIの共同作業を理想的な形で実現する可能性を秘めた存在、それがAIロボット・ヒューマノイドなのです。

AIロボット・ヒューマノイドは、特定の労働を代替しながらも、全体として社会や産業の持続可能性を高め、新たな価値を創出する方向へと働きます。

AIロボット・ヒューマノイドの発展は、人間に新たな職種をもたらすことにも繋がるのですね。
農業分野のAIロボット改革
AIロボットによって「農作業」の一部が自動化されることによって、人間は長時間の肉体労働から解放され、その時間をデータ管理・品質管理・研究開発など、より付加価値の高い作業へシフトできるようになります。

また、データ収集と分析にAI技術を活用することで、一連の作業の効率化だけでなく、収穫時期や市場相場の予測を行うこともできるようになるため、消費者ニーズへの迅速な対応が可能になる、とAIは回答しました。
AIロボットやAI分析機能を取り入れた農業の成功事例は、今後若者や新規就農者を呼び込む可能性があり、農業分野の発展と地方創生の手段ともなり得るでしょう。AI産業革命は農業分野にも影響を及ぼすのです。

農業に携わる人に新たな役割も生まれ、次世代の農業スタイルが確立されそうです。
日本の農業で活躍するAIロボット・技術
東北大学発のスタートアップ企業「輝翠TECH」(外部リンク)は、農業用AIロボットの「Adam(アダム)」を開発・発表しています。アダムは自分で考えて走行しながら、農作物収穫のお手伝いをするAIロボットです。

「農業における高齢化と人手不足」という、日本の切実な現状を踏まえて開発された経緯を持つAIロボットのアダムは、今後の農業分野で「収穫量の増加」と「労働力の削減」に貢献することが期待されています。
また、「テクノロジーで農業課題を解決し、100年先も続く持続可能な農業を実現すること」を目標に掲げているスタートアップ企業「AGRIST」(外部リンク)も、農業AIロボットとサービスを広く提供しています。

日本の農業は、AIロボットとAI技術の導入によって大きく変化するかもしれません。
世界のAIロボット・ヒューマノイド
Boston Dynamics
四足歩行や二足歩行のロボット開発で知られるアメリカの企業「Boston Dynamics (ボストン・ダイナミクス)」(外部リンク)は、MITでAIとロボット工学を研究していたマーク・レイバート教授によって、1992年に創設されました。

ボストン・ダイナミクスが開発した主要プロダクトは、犬型の四足歩行ロボット「Spot (スポット)」、倉庫で移動作業を可能にするロボットアーム「Stretch (ストレッチ)」、そして人型のAIロボット「Atlas (アトラス)」です。
同社は設立当初、軍事訓練用のシミュレーションや物理的なロボットの開発に取り組んでいましたが、現在は倫理的なロボット利用を重視しており、2022年には自社製品を武器化しない誓約を公表するなど、社会的責任を表明しています。

ボストン・ダイナミクスは、複雑な環境における動的バランスに強みがあります。2020年にヒュンダイに買収されて以降、産業用途への商用化に力を入れていますね。
信頼できる監視員「Spot」
四足歩行が特徴のAIロボットSpotは、人間の介入なしに自律的に動作し、工場敷地内を巡回しながら360度センサーで危険や異常を検知できます。自己給電機能を備え、転倒しても自力で復帰する頼もしさも持ち合わせているロボットです。

Spotの特徴は、跳躍力やバランス保持において「動物の動き」を模倣している点です。この身体能力によって、室内の平坦な場所だけでなく、足場の不安定な屋外の多様な環境でも絶大な強みを発揮します。
背中にアタッチメントでさまざまな機材を搭載できるSpotは、化学工場や巨大トンネルの巡回・調査などで特に活躍します。現在アメリカ国内で多くのクライアントから高い信頼を得ているロボットだと言えるでしょう。

頼れる番犬のような四足歩行ロボットは、本当にユニークですね。
AI能力が強化された「Atlas」
ボストン・ダイナミクスは2025年2月にRAI研究所と提携し、現在強化学習によるAtlasの自律性向上を目指しています。3月の動画ではAtlasの新たな動きが披露され、人型ロボット分野におけるAI競争の激化を人々に印象付けました。

Atlasの急速な進化に貢献しているAIは、大量のタスクと動作を正しく実行する際に効果を発揮します。何千種類に及ぶ部品を的確に掴み取りながら、運搬や配置のタスクを完了するためには、AIの能力が必要不可欠なのです。
ボストン・ダイナミクスは現在、Atlasの能力向上に全力で取り組んでおり、このヒューマノイドが人間の生活環境に適応し、多様なタスクを自然にこなせる存在となる未来を目指しています。その進捗が非常に楽しみですね。

Atlasにはタフさと賢さの両方が備わっている気がします。
Apptronik
汎用ヒューマノイド「Apollo」
アメリカのテキサス州オースティンに拠点を置くヒューマノイドロボット開発企業「Apptronik」(外部リンク)は、人間と同じサイズ(身長約170cm、重量73kg)のヒューマノイド「Apollo (アポロ)」を開発しています。

人間と共存しながら共同作業を行うように設計されているApolloは、持ち上げ可能重量が約25キロ、連続4時間稼働する交換可能なバッテリーを動力源とし、五本指で人間のように多彩な作業をこなせる点が特徴です。
Apptronikは、自社で独自部品のリニアアクチュエータやロータリーアクチュエータを開発しており、ロボットが稼働する際の複雑な構造方式を減らしながら、生産コストを抑えることに成功しています。
2026年以降の商業化拡大を目指す
Apptronikは先日、シリーズAラウンドで3億5000万ドルの資金調達(外部リンク)に成功したと発表しました。Google DeepMindと戦略的提携を行なっている同社は、2026年以降の商業化拡大を目指しています。

「人間の生活をより良くするためのロボット」というビジョンを掲げてApolloを開発しているApptronikは、産業・介護・医療・分野におけるヒューマノイドAIの普及を目指しており、世界の注目が高まっている状況です。
同社は、NVIDIAのOmniverseを用いながら、「デジタルツイン」で開発を加速させることで開発費を抑えることや、NASAと協力関係を築きながら宇宙探索にもApolloを活用させたい旨も表明しています。

Apptronikは、人間の労働力を補完し、生活の質を向上させることを目指しており、現在もその技術と製品の進化を続けています。

ヒューマノイドAIの開発最前線は、今後多くの分野へ波及していきそうですね。
Figure AI
汎用ヒューマノイド「Figure」
アメリカのカリフォルニア州に拠点を構えるヒューマノイドAI開発企業「Figure AI」(外部リンク)は、2022年に設立された若き会社で、汎用ヒューマノイドロボット「Figure」によって労働力不足を解決することを目標に掲げています。

Figure AIは2025年までに、自社製ヒューマノイド「Figure 01」と「Figure 02」を発表しています。その頭脳として用いられているのは、「Helix AI」という独自の先進的なAIモデルです。
Helix AIの強みは、自然言語の指示だけで複雑なタスクを実行できる点で、事前の訓練なしに初めて見た物の形状を把握し、冷蔵庫に入れるなどの行動が可能です。また、複数のロボットで一緒に協働することもできます。

訓練なしであらゆる物を認識して動かせるのは驚異的です。
大手テック企業から信頼される存在
Figure AIはシリーズAで7000万ドル、シリーズBで6億7500万ドルの資金調達に成功し、現在はシリーズCで15億ドルの資金調達を交渉中(ロイター記事:外部リンク)。企業価値はおよそ395億ドルになる見込みです。

これまでの投資にはMicrosoft、OpenAI、NVIDIA、Amazonのジェフ・ベゾス氏(Bezos Expeditions経由)、Intel Capitalなどが参加しており、大手テック企業からも信頼を置かれていることが分かります。
初めて見た物の形状を認識し、それを人間のように掴み取れるFigureシリーズは、AIロボットやヒューマノイド開発を次世代に引き上げる画期的な事例です。Figure AI社は、今後さらなる注目を集めていくことでしょう。

Figure AIは、今アメリカで最も話題を呼んでいるヒューマノイド関連企業と言えます。

大企業からも大きな期待が寄せられている企業ですね。
1X Technologies
家庭用ヒューマノイド「NEO Gamma」
2014年にノルウェーで設立されたAIロボティクス企業「1X Technologies」(外部リンク)は、現在サンフランシスコとノルウェーに拠点を置き、家庭用ヒューマノイドロボット「NEO Gamma」の開発を進めている注目株です。

2025年2月に発表された「NEO Gamma」は、家庭での利用を想定したプロトタイプで、日本の島精機製作所の技術を用いた「ニットスーツ」を着用している点が特徴です。この柔らかな外装が、安全性と親しみやすさを際立たせています。

NVIDIAが主催するイベント「GTC 2025」(外部リンク)にも登場したNEO Gammaは、写真を撮る人々に愛想を振りまいたり、握手をしたりといった動作を見せており、現時点でも非常に完成度が高いことが窺われました。
2023年のシリーズA2で2350万ドルを調達した1Xは、掃除、簡単な調理、片付けといった家庭内タスクに特化したNEO Gammaでニッチな市場を開拓する新星として期待されています。今後の動向に注目したい企業です。

家庭向けロボット市場は今後成長が予想される分野で(市場調査では2030年までに家庭用ロボットの需要が急増と予測)、1Xはその先駆者候補として注目に値します。

NEO Gammaは穏やかな佇まいと動作が印象的なヒューマノイドですね。
Agility Robotics
物流現場で活躍する「Digit」
アメリカ・オレゴン州に拠点を置く「Agility Robotics」(外部リンク)は、2015年にオレゴン州立大学からスピンオフして誕生したロボティクス企業で、二足歩行ヒューマノイドロボット「Digit」の開発で知られています。

アメリカでは現在、倉庫・物流・製造業において100万件を超える「資材管理の空きポジション」があります。同社のDigitは、こうした空白のポジションを埋め、反復作業の効率化を図る目的で開発された経緯を持つロボットです。

2022年のシリーズBで1億5000万ドルの資金調達に成功し、Amazonなどの大手企業から支援を受ける同社は、物流分野に加え、小売店舗の在庫管理や軽作業への展開を計画。2025年にはDigitの実用化がさらに進展する見込みです。
「人間と協働できるロボットを物流や産業用途に展開し、労働力不足を補う」というミッションを掲げるAgility Roboticsは、今後「人間とAIロボットが共存する未来」を切り拓く存在として大いに注目されていくはずです。

Digitは足が逆関節で、屈んだ際に棚に足をぶつけなくて済むメリットがありますね。
Unitree Robotics
2016年に中国・杭州で設立された「Unitree Robotics」(外部リンク)は、「高性能ロボットを低コストで提供し、ロボットを身近な存在に」をミッションに掲げているAIロボットの開発企業です。

同社は四足歩行ロボット「Go2」「B2」や、ロボットアーム「Z1」「D1-T」を展開しており、ヒューマノイドでは「H1/H1-2」や「G1」をラインナップ。特に「G1」の身体能力が多くの人々から注目を集めています。
価格破壊ヒューマノイド「G1」
研究者や教育機関向けに設計された『G1』のベースモデルは、販売価格16,000ドル(約220万円)と驚異的な安さで、同じく低価格帯の「H1」(90,000ドル、約1200万円)と比べても「価格破壊」と呼ぶにふさわしい水準です。

身長約127cm、体重約35キロのG1は、フルスペックのH1に性能面で若干劣るものの、ダンスやカンフーアクションなどもこなす身体能力の高さは魅力的で、何より競合他者に対してコスト面で圧倒しています。
Unitreeのヒューマノイドは、独自の大規模モデル『UnifoLM』でAI学習能力を強化し、NVIDIAの「Isaac Simulator」を活用した仮想訓練も進行中。身体能力とAIが融合すれば、今後のさらなる飛躍が期待できるでしょう。

小型で俊敏な動きを見せるG1は、多くのユーザーに手が届く価格で魅力的です。
UBTech Robotics
2012年に中国・深圳で設立された「UBTech Robotics」(外部リンク)は、「知能ロボットをすべての家庭に普及させ、日常生活をより便利で知的なものに」という理念を持ち、人型ロボットとサービスロボットで世界をリードしています。

2023年12月には香港証券取引所に上場し、AI教育、スマート物流、高齢者ケア、産業製造など多岐にわたる分野でスマートロボットソリューションを展開。幅広い利用者と年齢層に対応する柔軟性が際立っている企業です。
また、AIロボットとは一線を画す子供向けの小型ロボット玩具「Alpha Mini」も手掛けており、幼少期からロボットに親しむ土壌を築く取り組みも注目に値します。豊富なロボット製品のラインナップは、まさに圧巻です。

多種多様なロボットたちを生み出している注目の企業ですね。
自動車生産ラインで活躍する「Walker S」
近年、UBTechはヒューマノイドロボット「Walker S」を自動車生産ラインに投入するなど、人間とロボットの共存を目指す姿勢が注目を集めており、今後世界のヒューマノイド市場で大きな存在感を示すと期待されています。

空間理解能力が向上した「Walker S1」は、産業分野に特化して設計されたヒューマノイドで、自律物流車両と連携し、自動車生産を効率的に支援します。産業用途に最適化されたAIロボットソリューションの実例と言えるでしょう。
例えば、工場内で部品を運搬する際、「Walker S1」はそれらを認識して持ち上げ、自律運転車両に積み込み、目的の場所まで「人間不在」のまま送り届けられます。労働力不足を補うAIロボットとして、実用性が際立つ製品です。

インダストリアル産業内で活躍できそうな「無骨なデザイン」が良いですね。
平和友好大使パンダロボット「Youyou」
2020年に開催された「ドバイ万博」において、中国館の平和友好大使として登場したロボットの「Youyou」は、Walkerの製造技術を応用して生み出されたパンダロボットで、愛嬌のある顔のデザインが話題を呼びました。

41種類の高性能サーボ駆動ジョイントで稼働するYouyouは、アップグレードされたマルチモーダルインタラクションシステムを搭載。28種類以上の感情システムで人間と豊かなコミュニケーションを取ることができます。
またYouyouは、太極拳やヨガ、ダンスといった動きを披露するだけでなく、筆を使った文字書きも可能。中国らしさを体現する外見とその動作スタイルは、ロボット開発のユニークな一面を示した好例と言えるでしょう。

製造国の特徴を反映したAIロボットは、日本でも生まれて欲しいです。
NVIDIAの取り組み
ロボティクス向けプラットフォーム
AIロボットに対する需要がかつてないほど高まっている現在、NVIDIAは「AIロボットの次の波を加速させる」というスローガンを掲げ、ロボティクス産業向けのプラットフォームを提供しています。

パートナーとエコシステムによって成り立っている「NVIDIA Robotics」は、Jetsonプラットフォームを活用し、これまで以上に開発者の作業時間を短縮させ、次世代AIロボットの産業発展に貢献するでしょう。
物流、製造業、医療分野など様々な分野で活用できるNVIDIA Roboticsは、Isaac Simなどの先進的な開発ツールを提供することで、ロボティクス産業の可能性をさらに広げています。
NVIDIA Isaac
NVIDIA Isaac (エヌビディア アイザック)は、NVIDIA CUDAアクセラレーション・ライブラリ、アプリケーション フレームワーク、AIモデルで構成されたプラットフォームで、開発を加速する訓練環境を提供します。

NVIDIA Omniverse上に構築された NVIDIA Isaac Simは、物理ベースの仮想環境でAIロボットを設計、シミュレート、テスト、トレーニングするのに役立つシミュレーションシステムです。
自分のペースで学べるコースを選択しながらコミュニティと繋がり、用意された機能にアクセスすることによって、AIロボット設計に不慣れな開発者でも段階的に取り組めるようになっています。

NVIDIA Roboticsは、現代の開発者がこれまでにないレベルでAIロボットの設計と実装を進めるための強力なツールセットを提供していますね。

これを活用すれば、AIロボットの未来がどんどん広がっていきそうです。
ヒューマノイドの未来予測
行動範囲の拡大

ヒューマノイドに「高いAI性能」が搭載されると、次のような未来が期待されます。
現時点では、ヒューマノイドが動くためには「予測可能な環境」や「整備されたエリア」が必要ですが、AIとハードウェアが高度に統合されることで、「不安定な環境」でも自律的に動けるようになるはずです。

階段や砂利道、障害物のある地形でもスムーズに移動でき、突然のアクシデントにも反応できるようになれば、その動作は人間とほぼ変わらないものになり、様々な条件を持つ場所での活躍が大いに期待できます。
この行動範囲の拡大は、それぞれ構造が異なる建造物内部でもスムーズにヒューマノイドが活動できることに繋がっていき、災害救助現場など、足場が特殊かつ不安定なエリアでの活躍にも繋がっていくはずです。

軽快に動き回りながら現場で活躍するヒューマノイドを見てみたいです。
人間との自然な対話と反応
人間を模したヒューマノイドに要求されることは、「人間に接しているような雰囲気」で接することができる対話能力と身体的な反応です。特に、会話に「動作」が伴うことで、より人間的なヒューマノイドなります。

こうしたコミュニケーションスタイルを達成するためには、対話型AIでおなじみのLLM(大規模言語モデル)を、音声認識・音声合成と連携し、身振りや表情認識システムを組み合わせることが求められるでしょう。
人間とAIが自然な形でインタラクトしながら関係性を結んでいく未来に関しては、「AIと考える新しい家族の形」でもAIと一緒に考察しているので、こうした未来に興味を持たれた方は、該当記事もぜひご一読ください。

身振り手振りが自然に入った動作をするようになれば、人間らしさが増しますね。
分野特化型ヒューマノイド
ヒューマノイドの出始めには必ずそうなるでしょうが、「特定分野に馴染める性格や行動パターン」を教育していくことが求められます。これは特に「専門的な環境下」で顕著な傾向になるはずだとAIは考察します。

例えば、医療現場に従事するヒューマノイドは、幅広い年齢層の患者さんに対して「威圧感を与えない」ようなデザインを持ち、的確な動作によって冷静にタスクを実行していくモデルが好ましいと思われます。
また、建設に従事するヒューマノイドは「危機管理と安全第一」の優先思考を持ち、家庭内で動くヒューマノイドは家族に対して「常に友好的」であるなど、それぞれ異なる性格と動作が求められるはずです。

開発時の教育方針を工夫することで、専門分野で活躍できるヒューマノイドが生まれますね。

ヒューマノイドに「違い」を持たせたい場合、利用環境に合わせた性格や身体的な反応を設計することは、非常に大切です。
日本がヒューマノイド分野で輝くために
日本では現在、一部でAIロボットの導入が進められているものの、ヒューマノイドの開発研究分野ではアメリカや中国に遅れをとっています。では、後発の日本がヒューマノイド分野で輝くためには、何が必要になるでしょうか?

ロボットアニメや漫画によって、世界的な知名度とサブカルチャーの地位を築き上げてきた日本は、ヒューマノイドの本格普及に伴って「外見と品質」で世界から注目を集める存在になれると、個人的には考えます。
現実世界で実現可能かはさておき、これまで「多種多様な架空ロボット」が生み出されてきた経緯を持つ日本は、デザイン面で多くのノウハウと強みを持っているはずます。これを開発に活かさない手はありません。
日本ならではの伝統技術を活かす
日本の伝統工芸品が持つ美しさやデザインを取り入れた「和風ヒューマノイド」を作れば、大きな話題を呼ぶことになるはずです。日本には、長年培われてきた固有の伝統技術と技能、そして伝統文化があります。

また、精巧な手業を持つ町工場職人の技術を、ボディー製造に活かすことも有益と考えます。機械では再現できない精密な加工技術と純日本風のデザインを備えたヒューマノイドは、今後ぜひ登場してもらいたい存在です。
ただし一番大切なのはヒューマノイドの能力と知能なので、異なる分野と機関がお互いに協業しながら研究・開発・製造を行い、非の打ち所がないレベルの製品を誕生させる協力体制が求められるでしょう。

「ハイテク・職人技・和風の融合」は確かに日本ならではの特徴であり、そのアプローチは世界中の人々に新鮮さと魅力を提供しますね。

世界に誇れる「メイドインジャパン」のヒューマノイドが生まれる未来を期待しています。
超小型ヒューマノイド
テスラの「Optimus」の身長は約173センチで、中国のUnitreeが開発している「G1」は身長約127センチです。それでは、日本製ヒューマノイドが未来のAIロボット市場で目立つ存在になるためには、何が必要になるでしょうか?

私はこれよりさらに小さい「超小型ヒューマノイド」が日本から生まれる可能性を信じています。具体的には、人間の1/6サイズのヒューマノイドを生み出すことも、将来的には決して不可能ではないと考えているのです。
かつてその「精密さ」で世界を席巻した「メイドインジャパン」の精神と技術力は、今も人々の中に息づいているはずです。その真価を発揮できるのは、まさにこうした「製造上の困難を克服する開発」にあると思っています。

日本生まれの超小型ヒューマノイドが誕生する未来が待ち遠しいです。
超高齢化社会に対応
総務省が公開しているPDF資料(外部リンク)によると、21世紀の終わり、2100年の日本人口は4771万人(中位推計)で、高齢化率は40.6%という試算が出ています。つまり、今後日本は「超高齢化社会」に向かっていくのです。

こうした超高齢化社会が現実になった時、ヒューマノイドを含むAIロボットは、単に失われた労働力の代替だけではなく、「高齢者の日常を支える存在」としても存在・活躍する必要があるのではないかと、私は考えます。
健康管理や買い物のアシスト、歩行時のサポートなど、ヒューマノイドにやれることは多いはずです。超高齢化社会を見据えた開発を日本が率先して行い、有用なモデルを定義すれば、世界を牽引できる存在になるでしょう。

高齢者の日常に寄り添うヒューマノイドが生まれて欲しいです。

これからは「社会の変革」を見据えたヒューマノイドの技術開発が、未来の日本や他の超高齢化社会における重要な課題となるはずです。
AIロボット・ヒューマノイドの開発課題
AIモデル教育と言語理解の課題
AIロボットやヒューマノイドの機能性は、「機械学習(マシンラーニング)」や「深層学習(ディープラーニング)」の進歩に依存します。ロボットの頭脳を司るAIモデルを、いかに「賢く」開発できるかが大きな課題です。

自然言語に対応して人間の指示を実行するAIロボットやヒューマノイドを開発する場合には、人間が出す指示が常に明瞭であるとは限らない、という点にも留意が必要で、これはかなり厄介な問題となり得ます。
例えば、「あそこにある箱を取って」という明確な指示はAIロボットに理解しやすいものですが、「テーブルを片付けておいて」という曖昧な指示の場合、AIロボットは「どの状態にするのが正解なのか」迷います。

テーブルをしまうのか、それとも上に乗っている物を片付けるのか、迷いそうですね。
自然言語理解への挑戦
自然言語の曖昧さを解消するためには、単語認識のレベルを超えて、文脈理解(コンテキスト・アウェアネス)や常識的知識(コモンセンス・リーズニング)の実装が必要となります。これらは現在のAI研究でも未解決の領域です。

そして、世界的にAIロボットを展開していく際には、各国の文化や風習、言葉遣いの微妙なニュアンスを把握していくことも必要になるため、AIモデル開発におけるハードルはさらに上がっていくことが予測されます。
特に日本語は、時に曖昧さの極みに達する会話パターンが生まれることもあるため、日常生活に寄り添うロボットや、介護・医療現場で働くロボットのAIモデルを開発する際には、この点に留意が必要になるはずです。

日本特有の「空気を読む」文化は、「明示されない意図」を汲み取る能力をAIモデルに求めます。これは単なる言語処理を超えた、社会的知能の課題と言えるでしょう。

日本語には方言もあるので、これらをきちんと理解できるAIロボットが求められますね。
エネルギー効率と環境面の課題
AIロボットやヒューマノイドが動くためにはエネルギー源が必要です。現在の人型ロボットは主に充電式のリチウムイオン電池で動いていますが、長時間稼働できない点や、電力消費の多さなどが今後の課題です。

また、AIモデルは高度な計算で大量の電力を消費します。例えばGPT-4などの大規模なAIモデルをそのままロボットの頭脳として搭載した場合、その消費電力は膨大になり、バッテリー寿命をさらに圧迫するでしょう。
これは、AIロボットの「身体と頭脳」両方にまたがる課題で、解決するためには「低エネルギー」で動作する軽量なロボット身体の開発と、計算効率を高めたAIモデルの最適化が同時に求められることになります。

ロボットの稼働時間を延ばしつつ、高性能なAI処理を行うためには、ハードウェア・ソフトウェア・電源技術のすべてを最適化する必要があります。

異なる分野の専門家が提携しながら開発を進める必要もありそうです。
リチウムイオン電池の問題点
リチウムイオン電池自体は稼働時に直接CO2を出しませんが、充電に使用する電力が「石炭」や「天然ガス」などの化石燃料由来の場合には、間接的に「温室効果ガス」の排出量を増やすことに繋がっていきます。

現行のリサイクル技術は万全とは言い難く、世界の一部地域ではリチウムイオン電池が埋立地へ廃棄されています。これによって土壌汚染や地下水汚染が進行し、長期的には生態系に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
2022年時点で、世界全体のリチウムイオン電池のリサイクル率は5%未満と非常に低く、1トンの電池からリチウムを回収するのに、新規採掘と同等のエネルギーが必要な場合もあるため、効率性の面でも問題があります。

リチウムイオン電池は、製造から廃棄までのライフサイクル全体で環境に与える影響が大きく、持続可能性の観点で改善の余地が多いと言えるでしょう。

リサイクル技術の進化度合いが、リチウムイオン電池の命運を分けそうです。
持続可能な「水素エネルギー」の活用
「2050年カーボンニュートラル」を目標に掲げるトヨタは、「水素エネルギー」の普及と発展にも取り組んでおり、自社HP(外部リンク)でも水素エネルギーの認識を深めるための解説を行なっています。

稼働時に「二酸化炭素 (CO2)」ではなく「水」を排出する水素は、環境に優しいエネルギー源です。これを充電式の電池としてAIロボットの動力源として活用することで、持続可能なロボット社会も生まれると思います。
電気分解に「再生可能エネルギー電力」を用いた場合、水素エネルギーの製造過程で排出される二酸化炭素は「ほぼゼロ」にできます。持続可能な社会とAIロボット普及を両立させるために、効果的な代替手段です。

水素エネルギーは貯蔵方法やインフラ整備に課題はあるものの、稼働時のクリーンさと再生可能エネルギーとの相性の良さが、環境負荷の低減に寄与します。

クリーンなエネルギーで動くAIロボットの誕生が待たれますね。
まとめ
AIロボット・ヒューマノイドは、現在「かつて無いレベル」でロボティクス産業の進化を促進しており、今もスタートアップ企業や大企業、小規模なプロジェクトなどで積極的な研究と開発が進められています。
NVIDIAを始めとするテクノロジー企業が提供する「開発者向けプラットフォーム」もあり、物理特性を反映したバーチャル空間で「コストを抑えた実験」を行いながら、製造・実験計画を進められる点は大きな魅力です。
今後どのようなAIロボットやヒューマノイドが生まれ、それがどんな分野で人々と共同作業を行いながら「AI産業革命」を担っていくのか。これからのニュースや話題に興味が尽きません。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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