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AIと考える「超高層ビル」の過去・現在・未来 (後編)

AIと考える「超高層ビル」の過去・現在・未来 (後編) AIと開発
ソルティ
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あなたが考える「未来の超高層ビル」を教えて下さい。

AI
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未来の超高層ビルは、災害時の避難を合理的に行うための技術や設計の進化に伴い、現在の課題を克服していくでしょう。そしてその一方、「低層化」という進化軸も存在します。

記事の前編では、現在の超高層ビルの成り立ち、そして超高層ビルのメリットとデメリットを見てきました。後編となる今回は、それらを踏まえた上で「未来にどんな超高層ビルを実現できるのか」について迫る内容です。

未来の超高層ビルイメージ画像
© 2025 NEOM.

記事ではAIに「未来の超高層ビル」の進化形態を複数のトピックで予測してもらいながら、「垂直方向へ空間を利用しない超高層ビルの進化軸」として、Appleの本社である「アップル・パーク」も取り上げていきます。

AIの予測通り、新素材や設計思想を取り込んだ「次世代の超高層ビル」は誕生するのでしょうか。そして、高層階を必要としない「発想の転換」は、超高層ビルの新たな進化軸として広まっていくのでしょうか?

ソルティ
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それでは早速見ていきましょう!

超高層ビルのAI未来予測を考察:垂直都市構想と低層ビルの進化軸

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超高層ビルの進化軸

複合施設化が加速

AI
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未来の超高層ビルは、内部で日常生活が完結する「垂直都市」構想が進むと予測されます。

垂直都市とは、車両などの移動手段を用いることなく都市圏での生活が可能になる都市構想を指す言葉で、例としてサウジアラビアでNEOMカンパニーが構想している未来都市「THE LINE」(外部リンク)がこれに該当します。

サウジアラビアの「THE LINE」の構想イメージ
「THE LINE」は、環境への配慮と利便性を両立させる未来都市計画です。© 2025 NEOM.

垂直都市構想では、ビルの敷地内と内部に商業・医療施設・居住区・学校・公園などが集約されます。日常生活のほぼ全てをビル内で送れるという仕組みで、THE LINEの構想はこのシステムを飛躍的に発展させたものです。

THE LINEのような垂直化構想を推し進めると、広大な自然を確保できます。これが緑地化を生み、地球本来の豊かな自然を再び蘇らせることにも繋がるはずです。発想はかなり大胆ですが、面白い未来像と言えるでしょう。

THE LINEのコンセプト画
THE LINEの建造物全体イメージ。土地を限りなく有効活用するコンセプト。© 2025 NEOM.

垂直都市構想には、人類を脅かす自然災害への懸念と環境への配慮があります。未来において日常生活が困難になるレベルで自然災害が発生する可能性は排除できず、また自然環境を守ることは何よりも大切だからです。

AIは「人類が環境との折り合いをつけながら発展する未来」として超高層ビルの進化を予測した時、THE LINEが示したような構想に共鳴したのかもしれません。人類が未来で発展するために、環境問題の克服は必須なのでしょう。

「THE LINE」内部のイメージ画像
THE LINEの内部イメージ。車両や交通機関不要で、歩いて暮らせる都市を目指しています。© 2025 NEOM.

AIはまた、超高層ビル内部に避難所として利用できる「安全エリア」を設ければ、緊急時や甚大な災害時に外へ出る必要がなくなるという予測を出しており、これはスマートシティ構想が掲げる未来にも一部繋がります。

AIやIoT(インターネット接続)を活用して、「都市の効率性」「持続可能性」「住民の利便性」を向上させる未来型都市を一般にスマートシティと定義しますが、超高層ビルの進化もこの一角を担うことになるはずです。

ソルティ
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ビル全体が巨大都市として人々を守るという壮大な構想ですね。

垂直避難システムの進化

AI
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耐火性や耐震性を備えた「非常用エレベーター」が開発され、さらにビル間を移動できる新たな手段が登場する可能性があります。

超高層ビルにおける「垂直避難の難しさ」は、世界共通の課題です。未来で新素材や独立電源を利用したエレベーターが開発された場合、緊急時でも稼働を停止せず下層まで安全に避難できるだろうとAIは考えています。

超高層ビルのイメージ画像
Grokによるイメージ画像

またAIは、ドローン技術を活用した「空中移動ポッド」の出現も予測します。このポッドは人間を乗せられる大きさで、災害時などに緊急脱出を余儀なくされた際には、これで素早く空中へ移動する仕組みです。

eVTOLの可能性

ポッドの小型化にはまだ年数がかかりそうですが、これに近い存在としてeVTOL(電動垂直離着陸機)、通称「空飛ぶタクシー」が挙げられます。Joby Aviationの「Joby」や、EHangの「EHang 216」のような機体です。

EHang 216の機体
空飛ぶタクシー「EHang 216」の飛行イメージ。© 2014-2025 EHang.

垂直に離着陸できるeVTOLは、超高層ビルの屋上からの「緊急脱出用」に転用できる可能性があります。現時点では非常用手段として設計されていませんが、ビルに常備すれば「避難経路」が増えることでしょう。

ソルティ
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これは多くの人々がスムーズに脱出できる未来像ですね。

新素材と次世代のデザイン

AI
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新素材でビルが軽量化され、揺れや衝撃にも強くなることが期待されます。また、「バイオミミクリーデザイン」を応用した建造物が流行するかもしれません。

軽量かつ強度が高い「新素材」が生まれ、それらが超高層ビルの建設に応用されれば、地震や自然災害に強いビルが生まれるというのがAIの未来予測です。特に日本では「耐震性能」が重視されるため、喫緊の課題と言えるでしょう。

多層カーボンナノチューブのイメージ画像
多層カーボンナノチューブのイメージ画像。©2021 Ashizawa Finetech Ltd. All Rights Reserved.

例えばカーボンナノチューブは、鋼の20倍の強度、銅の10倍の熱伝導性、アルミの半分の密度、シリコンの10倍の電子移動度を持つと言われる夢の素材ですが、現時点でこれを建設に応用する技術は生まれていません。

カーボンナノチューブの特性・安全性・課題については、「ナノ粒子ワールド」の公式サイト(外部リンク)に詳しいので、この「夢の素材」に興味を持った人は、一度同サイトの記事を参照してください。

「バイオミミクリーデザイン」の応用

こうした素材が将来的に利用可能になり、さらに自然界の生物の構造や仕組みを模倣したデザイン「バイオミミクリーデザイン」を応用した設計を行えば、台風や地震に強い超高層ビルを生み出せるはずだとAIは言います。

自然環境との共生を啓蒙する施設を建造・運営している「Eden Project(エデン・プロジェクト)」は、イギリスのコーンウォールにある粘土採掘場跡地に、「蜘蛛の巣」からインスピレーションを得たドームを含む施設を建設しました。

イギリスのエデン・プロジェクトの全景
イギリスに建設された「エデン・プロジェクト」の建造物。© Eden Project 2025.

このドームに利用されている六角形のフレームは軽量で強度が高く、材料の使用量を最小限に抑えつつ、広い空間を確保できるという特性を持ちます。自然環境に深い理解と尊敬の念を抱く団体らしい構造物と言えるでしょう。

自然界には、過酷な環境を耐え抜く構造を持つ植物や生物が存在します。その形状や構造を分析しながら、次世代の建築物へ応用していくことが、今後の超高層ビル設計の「ターニングポイント」になるのかもしれません。

ソルティ
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「次世代の超高層ビル」の誕生が楽しみです!

未来の超高層ビルの進化軸:Apple Park (アップル・パーク)の事例

前項では「垂直に伸びる」超高層ビルの進化軸を見ていきましたが、ここでは低層型のビル「グラウンドスクレーパー」の進化軸を示す例として、2017年4月に開業した「Apple Park (アップル・パーク)」を取り上げます。

Apple Parkの全景
アップル・パークの全景。© 2025 Apple Inc. All rights reserved.

低層・広域型建築のマイルストーン

アップル・パークの社屋は地上4階・地下3階で、総床面積は約262,000平方メートルです。リングの直径は約461メートルで、周囲は約1マイル(1.6 km)。円形の「宇宙船」を思わせる特徴的なデザインを持っています。

アップル・パークの外観
低層・広域型の構造で自然災害にも強いアップル・パーク。© 2025 Apple Inc. All rights reserved.

低層かつ広範に広がる建物は、地震と風のリスクを低減できる点で優れます。この高さであればビル風は起こらず、緊急時に避難することも容易です。日本と同じく地震が多発するカリフォルニアに相応しい建物と言えるでしょう。

「ビルの高さ」で企業のステータスを競うよりも、会社で働く人々の人命を優先し、自然との調和を目指した設計思想には、大いに共感できます。低層化に向かう超高層ビルの進化軸も、今後は増えてほしいところです。

ソルティ
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アップル・パークは、超高層とは真逆の思想で設計された建造物ですね。

自然環境との共生

アップル・パークは敷地の80%が緑地帯です。実に9,000本以上の樹木が植えられ、中心部の庭園と人工湖が自然環境を再現し、社屋は周囲の景観に完璧に溶け込んでいます。「自然環境との共生」を意識した次世代型の建造物です。

アップル・パークの中央部分
アップル・パークの中心部に立つティム・クックCEO。© 2025 Apple Inc. All rights reserved.

ソーラーパネルで電力需要を賄う

稼働電力に関しては、屋根全体に設置されたソーラーパネルと敷地内のバイオガス燃料電池、外部の太陽光発電所からの電力で賄っています。100%再生可能エネルギーで運用されている点も、アップル・パークの大きな特徴です。

再生可能エネルギーへの取り組みによって、アップル・パークは「建築物の環境性能を評価する国際基準」であるLEED認証の最高位「プラチナ」を取得し、世界で最も環境に配慮したオフィスビルの一つと言われています。

アップル・パークのソーラーパネル部分
アップル・パークの屋根部分に設置されたソーラー・パネル。© 2025 Apple Inc. All rights reserved.

なお、アップル・パークの換気システムは自然換気が主で、エアコン使用を最小限に抑えています。また、建設時に使用された資材の多くがリサイクル素材である点も、環境に配慮した取り組みの一環と言えるでしょう。

2015年から現在まで、Appleは自社製品のカーボンフットプリント全体でCO₂e(二酸化炭素に換算した温室効果ガスの排出量)を55%以上削減したと報告しています。社屋でも環境改善に取り組んでいる点が素晴らしいですね。

ソルティ
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見た目だけではない「環境への強い想い」がある建築物です。

スティーブ・ジョブズCEOの発案

カルフォルニア州クパチーノにあるアップル・パークは、スティーブ・ジョブズCEO(当時)と主任デザイナー(当時)のジョナサン・アイブ氏が構想を固めたAppleの新社屋で、建築家としてノーマン・フォスター氏が参加しています。

スティーブ・ジョブズとジョナサン・アイブのイメージ画像
スティーブ・ジョブズ氏とジョナサン・アイブ氏。Soraによるイメージ画像

ジョブズ氏はアップル・パークについて緻密なイメージを持ち、フォスター氏とのミーティングで「理想のオフィス」について事細かに語ったと言われています。社屋を「働くための美しい庭園」にすることがジョブズ氏の構想でした。

またジョブズ氏は建設に際し、ガラスパネルをドイツから、木材を北米の特定の森林から調達させるなど、世界中から最高品質の素材を選び抜きました。徹底した美学と哲学は、Apple製品への情熱と同じくらい強かったのです。

夜間のアップル・パーク
夜間のアップル・パーク。© 2025 Apple Inc. All rights reserved.

残念ながらジョブズ氏は2011年10月5日、アップル・パークの完成を見ることなく他界してしまいましたが、世界を牽引する企業らしい「次世代の建造物」を残せたことを、天国で誇りに思っていることでしょう。

AI
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アップル・パークは、従来の高層建築物の代替として「未来的かつ持続可能なモデル」になり得ます。

ソルティ
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アップル・パークは、ジョブズ氏の「最後の作品」だったのかもしれませんね。

まとめ

超高層ビルの未来は、新素材や次世代のデザインを取り入れながら従来通り「縦に伸ばしていく」という進化軸と、自然環境に寄り添う低層型の進化軸に分かれることが分かりました。ただし、どちらが正解ということはありません。

未来の都市部のイメージ画像
Grokによるイメージ画像

過去から現在に流れる超高層ビルの歴史を検証し、さらにAIの未来予測とアップル・パークの事例を考察すると、超高層ビルの未来に必要なことが透けて見えてきます。それは、「自然と共生できる建物への進化」です。

超高層建築であれ低層建築であれ、深刻さを増し続ける地球の環境変動に寄り添ったデザインと設備を有していないビルは、大袈裟に言えば「人類の正しい進化論」から淘汰されていく運命にあると私は思います。

未来的なバイオミミクリーデザインの建造物
Grokによるイメージ画像

地域の特色・地形・気象条件・自然災害のリスクに基づいて「超高層ビル」と「低層建築」を選択しながら建造することは、持続可能かつ安全な都市環境のために非常に重要です。正しい選択が下される未来を期待しましょう。

ソルティ
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最後までお読み頂き、ありがとうございました!

ソルティ92
この記事を書いた人
ソルティ

AIと考えるブログ著者|書店員歴20年以上|アナログ(人間)とデジタル(AI)の対話形式で記事を執筆する聞き上手なタヌキがアバター|利用AIはChatGPT・Gemini・Grok|職業や分野を問わずAIで社会に貢献する人を応援します

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