
発売年代が古いアルバムほど、様々なリマスター盤が出回っていますね。

ストリーミング全盛の現代では、多くのユーザーが「同じ音楽のバージョン違い」という概念を知らずに育っているかもしれません。
私は洋楽の素晴らしさに出会って以降、アナログ・カセット・CD・ダウンロード音源で音楽を楽しんできました。高校時代にバンド活動を行い、レコード店でアルバイトをして、DTMで作曲をしたこともあります。

今回のテーマは「音楽のリマスター」です。アナログとデジタルで音楽を聴いてきた私の体験談も交えながら、リマスター盤の定義と課題、マスターテープの違いなどについて、AIと一緒に考察していきます。

それでは早速見ていきましょう!
音楽リマスターの定義と課題、マスターテープについて、著者の実体験を交えてAIと考察
リマスターの定義とマスターテープ
音楽における「リマスター」の定義
音楽のリマスターは、音源が録音・ミックスされたマスターテープを用いて、もう一度”異なるマスタリング作業”を行ってから再発する作業を指す言葉で、録音年代が古いアルバムほどリマスター人気が高まる傾向があります。

異なるマスタリングを行う理由の一つは”現代のリスニング環境へ適応させるため”で、当時除去できなかったアナログマスターテープのノイズをデジタル環境で取り除いたり、時にミックスを変更したりすることもあります。

一般的にリマスターは、各音源の音質向上を目指しつつ、発売当時の最終ミックスには一切変更を加えない作業を指します。「リミックス」と明記される場合は、楽器の音量バランスや定位が変更されていることが一般的です。
リマスター作業は「人選」が大切
リマスター作業には、オリジナル盤の発売当時関わっていなかったマスタリング・エンジニアが関与することもあり、この人選によって出来栄えの明暗が分かれます。アルバム製作時と同様、作業に関わる人物選びは大切です。

DSD(Direct Stream Digital)やハイレゾ音源に造詣が深いエンジニアであれば、リマスタリング作業でアルバムの魅力をさらに引き出すこともあります。実績を残した人物ほど”確かな仕事”をすると言えるでしょう。

リマスター作業は、稀にアーティスト本人の強い希望によって行われることもあります。

「昔のアルバムに磨きをかける作業」がリマスターですね。
マスターテープについて
音楽アルバムには、アナログやデジタルを問わず最初にスタジオで録音した「マスターテープ」があり、それを販売可能な媒体に変換・製造して世の中へ発表・発売します。マスターテープは”全ての原点”と言える重要なものです。

全ての作業工程がデジタルになることが珍しくない今も、バンドやオーケストラなどが演奏した個別の録音を最終ミックスした音源はマスターテープと呼ばれることが多く、それはアナログ時代の名残に起因すると推察されます。

アナログレコード時代の録音はアナログテープに記録されました。カセットテープのようにリールで巻き取るあのテープです。マスターテープは非常に貴重な物で、スタジオ内部で厳重に保管されることが基本でした。

アナログ全盛期、数十年後に再びマスターテープを持ち出してリマスター作業が行われると予見した人は少なかったと思いますが、テープを厳重に保管する風習が、後の「リマスター文化」に繋がったと言えるでしょう。

2008年のユニバーサル保管庫火災によって永遠に失われた貴重なアナログマスターテープもあります。

マスターテープは「音楽文化遺産」なので、大切にしてほしいですね。
アナログマスターテープの種類
アナログ時代(主に1950~80年代)は、音楽録音にオープンリール式アナログ磁気テープが広く利用されていました。デジタル全盛期の今とは全く異なる、まさに”アナログな製作環境”です。

磁気テープの「走行速度」が録音時の音質に大きく影響するため、プロの世界では主に最高音質を誇る30ips(インチ毎秒)や、コストと品質のバランスに優れる15ipsの磁気テープが広く採用された歴史があります。

テープの「幅」も音質に影響を及ぼす部分です。プロのスタジオでは1/4インチ・1/2インチ・1インチ・2インチ幅のテープが一般的で、基本的にテープ幅が広いほど、マルチトラック(多重)録音時に音質を向上させられます。
ダビングによる”音質の劣化”
アナログ全盛期には、レコード会社がマスターテープをダビングした「第二世代のマスターテープ」を世界各国へ送り、それを元にアナログレコードやカセットテープが製造・販売されることも珍しくありませんでした。

若い人には分かりにくいかもしれませんが、アナログテープをダビングすると元の音質が”若干”失われます。つまり、昔世界中で発売されたアナログレコードは、マスターテープの世代によって音質に差があるのです。

アナログレコードは世界各国同じ条件で製造されていたわけではなく、またアナログの型となる”ラッカー”のカッティング工程でも明確に音質差が生まれますが、この話はまた別の機会にさせていただきます。
デジタル時代にリマスタリングを行う意味
アナログ時代には、上記の理由から世界で”同じ内容で音質が異なるアルバム”が大量に出回りました。デジタル時代になって「世界標準となるマスター音源を作ろう」という流れになったのは当然だと思います。

今はデジタル配信が主流で、デジタル音源は理論的にコピーを重ねても劣化しません。アナログ時代に発生していた第二世代・第三世代のマスターテープで起こる音質劣化は、”デジタルマスターの制作”によって防ぐことができます。

アナログマスターテープを保管庫から出し、それを一旦「高解像度のデジタルファイル」へと変換し、そのデジタル音源を元にリマスタリング作業を行うスタイルが、現在最も一般的な手法になったと言えるでしょう。
デジタルアーカイブの利点
丁寧にデジタル変換されたマスターから製作されたリマスター盤は、アナログ時代の「音質の不確実性」を極力排除できる上、現代のリスニング環境に適した音圧調整も施せるため、一般的に音質面で優れるとされます。

ただし、磁気テープは保管状態や原材料によって経年劣化が避けられない場合もあるため、総合的に見ると発売当時のアナログ盤が”最も鮮度の高い音像”を保っているとも言えます。これがアナログ盤に価値が生まれる理由です。

それでもデジタルリマスターが歓迎されるのは、保存状態の良い個体が少ない当時のアナログ盤よりも遥かに流通性が高い状況で「一定のクオリティーを持つ音源」を提供できるから、と私は考えます。

そして、アナログマスターをデジタル転送することは、AIが言及した保管倉庫の火災事故のような悲劇から「音楽遺産」を救う手立てにもなります。「デジタルアーカイブ化」はどの分野でも大切な取り組みです。

歴史的な音楽を高解像度のデジタルファイルに残すことは、大いに意義があると思います。

貴重なアナログマスターテープはデジタルダブルで保存してほしいですね。
体験談と共に「リマスターの課題」を考察
リマスターCDとラウドネス・ウォー

ラウドネス・ウォーは、ダイナミックレンジ(DR:音の強弱の幅)を意図的に狭めて音量を”大きく聞こえるようにする”手法で、それに伴うレコード会社の競争を指します。
私は、リマスターCDがブームになっていた1990年代前半にレコード店でアルバイトをしていましたが、ちょうどこの時期からラウドネス・ウォーが活性化を始め、リマスター盤にも徐々に影響が出始めます。

リマスターの大義名分は”現代のリスニング環境に適応させる”ことですが、あまりにもオリジナル音源から音圧を上げすぎると、聴覚に刺激を与える「ラウドネス・ウォー(音圧戦争)の犠牲者」が生まれます。

ラウドネス・ウォーについて音楽業界や関係者から疑問の声が上がるのは、この時代から10年以上も先です。CDが最も売れていた時代、音圧戦争に乗ったリマスター盤は静かに”芸術性”を破壊していきました。

私自身、「リマスターは音質が良い」という世間の風潮を疑うことなく、それまで集めたコレクションを売却し、リマスターCDで買い直していたのですが、今では「勿体無いことをした」と思います。

リマスター盤の本質は音圧戦争によって薄れていきました。
ストリーミングサービスの代償
多くの人が利用しているダウンロード・ストリーミング音源の場合、アルバムの最新バージョンが提供されていることが多く、リマスター以前のアルバムや楽曲の音像を正しく体験することが難しくなっています。

現在も音圧至上主義の影響を受けたリマスター盤を「最新バージョン」として配信しているアーティストが存在しているため、最初にこのバージョンを聴いたリスナーは、アルバムを正当に評価できないかもしれません。
”発売当時のバージョン”を聴けない現状
古いアルバムやシングルの初回バージョンは、アナログやカセットテープ、CDなどの物理媒体で聴けます。ただダウンロード・ストリーミングサービスのみを利用する場合、「発売当時に鳴っていた音」は体験できません。

物理メディアで音楽が販売されることが少なくなった現在、アルバムが”最もあるべき姿”で収録されていた音源を、若い世代の人たちが気軽に聴けなくなっている現状は、かなり問題だと思います。

アナログからCDへの移行期にも、多くのリスナーがメーカーの戦略によって「進歩=優れた音質」だと信じ込まされていました。

古いアルバムを聴きたい場合、オリジナル盤にも目を向ける必要がありますね。
異なるマスターを探る面白さ
もし貴方に人生で何回でも再生したい「好きなアルバム」がある場合、そのアルバムに「異なるマスター」のバリエーションがいくつあるのかを調べるのは、とても意義深いことだと思います。

デジタルリマスターで不自然に聴こえたアルバムをアナログ盤まで遡ると、昔の音源が持っていた正しい音像を体感できます。リマスター技術が「どこまで”ナチュラルになれるか」も課題と言えるでしょう。

アナログレコードは発売当時の音楽が放つ”生々しさ”を持っています。
まとめ
適任者が丁寧なリマスタリングを行い、マスターテープに起因する問題が修正されたリマスター盤が再発することもあります。リマスターの意義と価値は、こうした良質な作業で体感できるものです。

苦労してオリジナル盤を探し出して聴いた結果、「自分はやっぱりリマスター盤の音が好きだった」という結論を出す人もいるでしょう。それでも全く問題ありません。”私はこの音が好き”は人それぞれです。

貴方のアルバムはオリジナルバージョンでしょうか?それともリマスターバージョンでしょうか?こうした点に興味を抱くと、音楽はこれまでに感じなかった「新たな側面」を見せてくれるはずです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!



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