
巨大地震と向き合う人類の”現在の取り組み”を一緒に考えましょう。

過去に発生した巨大地震の教訓を活かした取り組みは、世界中の被災国で行われています。国別の対策や施策を考察していきましょう。
過去編では、歴史に名を残した世界の巨大地震をご紹介し、その注目点をAIと一緒に考察していきました。後編となる今回は、過去を踏まえて防災を進める各国の”現在の取り組み”をAIと考察していきます。


それでは早速見ていきましょう!
AIと考える巨大地震の過去・現在・未来「現代編」|世界各国の巨大地震への取り組みをAIと一緒に考察
世界各国の巨大地震への取り組み|観測・分析・警報
地震警報システム:人類が手にした巨大地震の防御手段
地震の揺れには、速くて小さな”縦揺れ”を発生させる「P波(Primary:最初の波)」と、低速ながら大きい”横揺れ”を引き起こす「S波(Secondary:2番目の波)の2種類があり、S波が”主要動(大きな揺れ)”を引き起こします。

このうち、伝達速度が速いP波を地震計等の機器で観測してデータを瞬時に解析・計算し、低速度で揺れが強いS波が主要動を発生させる前に”地震の警告”を伝える仕組みが「地震警報システム」です。

たとえ僅かな間でも、主要動が襲う前に地震警報が発表されれば、人々に”対処する時間”が生まれます。また公共交通機関などのインフラを一時停止する措置も連携させれば、被害の拡大を防げるはずです。

地震警報システムは現在、日本、アメリカ、中国、台湾、メキシコ、チリで本格的に導入・運用されていますが、ヨーロッパの各国では試験運用段階が多く、世界的レベルでの整備には至っていません。

地震警報システムは、人類が地震の脅威に対して初めて手にした“能動的な防御手段”で、文明史レベルの転換点と言えます。

現代を生きる人たちは地震発生を「直前に知ること」ができるようになりました。
日本|「緊急地震速報」:世界トップレベルの地震警報システム
2004年に試験提供が始まった「緊急地震速報」は、その後2007年10月1日に一般提供を開始。NHKや民放のTV局において、Jアラート(全国瞬時警報システム)を送信するシステムも同日から運用開始されました。

気象庁(外部リンク)の発表では、全国約690ヶ所に存在する気象庁の地震計・震度計に加えて、全国1,000ヶ所にある防災科学技術研究所の地震観測網を利用した”大規模な地震波の観測体制”が敷かれています。

現在、一般に広く普及しているスマートフォンや、家庭用のテレビで受信できる日本の緊急地震速報(Earthquake Early Warning, 略称EEW)は、世界的に見てもトップレベルを誇る地震警報システムです。


日本の緊急地震速報は世界で最も進んだ地震警報システムの一つで、高い専門性を持つ国家機関が一元的に運用することで、精度と迅速性を両立させています。

地震が多い日本では、緊急地震速報が頼りになりますね。
アメリカ|「ShakeAlert」:インフラと連動する地震警報システム
米国地質調査所(USGS)が管理する地震早期警報システム「ShakeAlert (シェイクアラート)外部リンク」は、地震を迅速に検知し、強い揺れが到達する数秒前に”警報”を住民や自動システムに送信する仕組みを持ちます。

USGSは各技術パートナーと連携し、ShakeAlert発動時に「列車の速度低下」「給水バルブの閉鎖」「予備発電機の起動」「広報活動実施」を同時に行える協力体制も築き上げています。精度の高いシステムです。

合衆国唯一の”公共早期警報システム”であるShakeAlertの対象地域は、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の3州。現在5,000万人以上の住民と観光客の安全を守るために稼働を続けています。

ShakeAlertが優れているのは、インフラ保護のための自動アクションをシステム全体の目的として前面に押し出し、技術パートナーとの連携を”不可欠な要素”としている点です。

警報とインフラ制御がセットになった地震警報システムですね。
メキシコ|「SASMEX」:最も早く運用開始された地震警報システム
メキシコ中部と南部のエリアを広範囲にカバーしている「SASMEX (Sistema de Alerta Sísmica Mexicano)外部リンク」は、世界で最も早く運用が開始された地震警報システムとして広く知られています。

1985年に発生した巨大地震「メキシコシティ地震」がきっかけで生まれたSASMEXは、1993年から公共運用を開始。民間の非営利団体CIRESによって管理され、地震危険地域に住む2,500万人以上の人々に役立っています。

長年の運用歴を誇るSASMEXは、地震の警報音を聞いた瞬間に人々が”直ちに避難行動をとる”という社会的な習慣を地域住民に根付かせました。非常に有益な警報システムと言えるでしょう。

SASMEXは「人命保護の最優先」という目的を明確にし、国の地理的・歴史的条件を最大限に活用して警報システムを成功させた先駆者(パイオニア)として高く評価できます。

長い運用歴を誇る地震警報システムですね。
世界各国の巨大地震への取り組み|耐震・免震・制振
アメリカ|ゴールデン・ゲート・ブリッジ:既存インフラの保護
1937年に完成したサンフランシスコの「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」は、1989年の”ロマ プリエタ地震”をきっかけに、1997年から段階的な耐震構造強化プロジェクトが実施されてきた歴史を持ちます。

プロジェクトは2026年に最終段階「フェーズ3B (外部リンク)」に突入しており、すべての工事が終了するのは2036年です。39年間に及ぶ巨大地震への備えは、未来において身を結ぶことでしょう。


歴史的な景観を極力変えないという制約、そして1日10万台以上の交通量を維持しながら夜間に改修工事を行なうため、非常に時間がかかるプロジェクトになっています。

着々と巨大地震への備えを行ってきたのですね。
日本|東京スカイツリー:歴史にヒントを得た制振構造
2012年に完成した「東京スカイツリー」は、地震による倒壊の記録が存在しない日本独自の木造建築「五重塔」の設計技術に着目し、中央部の円筒(心柱)と外周部の塔体を分離して免震を行う”心柱制振”を行なっています。

また、東京スカイツリーの建設部材には標準的な鉄骨よりも約2倍強い”高強度鋼管”が用いられており、さらに各部材を三角形状に接合する”トラス構造”によって”高い耐震性”を実現している点も特徴です。


過去の優秀な木造建築技術を現代版にアップデートして活用している点において、東京スカイツリーは「日本人の知恵を凝縮した塔」と言えるでしょう。

1,000年以上も前に優れた免震構造が生まれていたのですね。
台湾|台北101:球体を用いた制振技術
2004年に誕生した地上101階・地下5階の超高層ビル「台北101」は、509.2mという高さが直面する”強風”の揺れから建物を守るため、重さ660トンの”巨大な黄金の球体”を吹き抜け部分に設置しています。

「チューンド・マス・ダンパー(TMD)」と呼ばれるこの球体は、87階から92階の吹き抜けに存在。風力による振動を40%抑制する効果を持ち、2019年に起こった地震からも建物を守ることに成功しました。


ビルが揺れる方向とは「逆方向」に球体が動くことで揺れが相殺される仕組みです。

振り子のように動いて制振を行うのですね。
トルコ|サビハ・ギョクチェン国際空港:公共施設を守る免震構造
サビハ・ギョクチェン国際空港の新ターミナルには合計300個の免震装置が設置されており、マグニチュード8.0の巨大地震にも耐えうる構造を持ちます。設計はARUP(外部サイト)が行いました。

イスタンブールにある同空港は、アフリカプレートとユーラシアプレートの間を約1,500kmにわたって走る北アナトリア断層に近い場所に存在するため、大規模な免震システムが必要とされていたのです。


2020年に完成したトルコの「チャム・サクラ都市病院」にもこの免震技術が応用されており、同病院は世界最大級の免震構造物と呼ばれています。

安心して公共施設を利用できる取り組みが素晴らしいです。
現代編まとめ
長い歴史の中で巨大地震に遭遇してきた国は、最新技術を結集して今も地震の脅威に立ち向かっています。近年の建設分野には「免震」と「制振」技術が生まれ、揺れの力を受け流す構造も生まれました。

一方、五重塔の活用例で明らかなように、1,000年以上も前に免震構造が存在し、現代まで数々の巨大地震に耐えてきた事実は脅威的で、「建造物には過去から学ぶべきことがある」と強く感じます。

最終回の未来編では、AIで巨大地震に立ち向かう事例をご紹介しながら、過去の教訓を活かして未来へ安全な生活を築いていくために必要なことは何かというテーマを、AIと一緒に探っていきます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!



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