
次世代のMac Proはどんな形に進化すると思いますか?

進化の軸は3系統です。「象徴性の維持」「統合と消滅」「AI機能の民主化」のどれを軸にするかによって、Mac Proの未来が決まると思われます。
記事の前編では、AppleのハイエンドワークステーションPC「Mac Pro」シリーズの歴史とデザイン、設計思想の変遷について、そして現行モデル「Mac Pro (2023)」が抱える課題点について、AIと一緒に考察していきました。

後編となる今回は、そんなMac Proが次世代で進化を遂げ、幅広いAppleユーザーから認められる存在になるためには、一体どのような方向性が好ましいのかについて、AIの未来予測を聞きながら一緒に探っていきます。
この記事は、MacとAIが「密接な関係」となる未来の方向性について知りたい方や、AIがApple製品をどう考えているのかについて興味がある、という方を想定しながら執筆しています。興味を惹かれた方はぜひご一読ください。

それでは早速見ていきましょう!
AIが考えた「次世代のMac Pro」を3系統の進化軸で考察
「次世代Mac Pro」進化の可能性をAIと一緒に考察
進化の方向性その1:象徴性の維持

Appleは、Mac Proのタワー型筐体デザインを「ブランドイメージの象徴」として残す道を選ぶ可能性があると思います。
AI予測の一つは、Mac Proの「象徴性」を維持する未来です。2019年モデルの「チーズおろし」タワー型筐体は、プロユーザーにとって拡張性と高級感の象徴であり、2023年モデルと同様、この形状を維持するというものです。

「大きな筐体=ハイエンド」というイメージ戦略を活用し、高い冷却性能と次世代PCIeスロットの実装でフラッグシップ感を維持することは十分あり得ます。デザイン面でやや保守的な今のAppleであれば、可能性は高いと言えるでしょう。
ただ、例え「PCIe Gen 5」スロットを採用しても、Appleシリコンの性能がパーツ実装で強化されるわけではないため、2019年モデルにあった「DIY性」を求めるファンには、インパクトが薄いままになると思われます。
ニッチな「プロ需要」向け
Mac Studio(外部リンク)は、Appleシリコン搭載PCの理想的なサイズと性能を実現しました。Mac Proが筐体サイズを維持しつつ、Mac Studioとの差別化を図る場合には、一般用途以外の「ニッチなプロ需要」を目指すべきでしょう。

2023年モデルのPCIeスロット活用例として、DeckLink(外部リンク)のキャプチャー・再生カードを利用する用途が挙げられます。ハリウッドの劇場映画やテレビ番組、ミュージックビデオ、CMなどの制作現場においてです。
Mac Pro現行モデルの課題は、PCIeスロットへ接続できる拡張パーツの種類が少ないことで、一般用途のタスクはMac Studioで足りることが多いため、専門用途以外に拡張性の意義とバランスを見出せない点にあります。
未来の進化軸が象徴性の維持とニッチなプロ需要の場合、初代Mac Proのように「一般ユーザー」を巻き込んで成長を遂げてきたシリーズの魅力は薄れ、用途においてもユーザー層が乖離することになりそうです。

設計思想を変更しない場合、利用ユーザーはかなり限定されそうです。
進化の方向性その2:統合と消滅

例えば、「Mac Studio Pro」のようなハイエンドモデルが登場し、Mac Pro自体がフェードアウトする可能性も否定できません。
AIが考えた未来予測の2つ目は、ハイエンドなAppleシリコンを搭載できるデスクトップPCの「理想系」とも言えるMac StudioにMac Proが取り込まれ、「Pro」という名前だけを残して消滅していくという衝撃的な内容です。

象徴性を維持してニッチ需要に向けた方向性で進化した場合、出荷台数と売上面で苦戦を強いられることが考えられるため、幅広い層に人気があるMac Studioへ名称とデザインが統合されるのは、ある意味「合理的」と言えます。
ただ、今までの筐体イメージを捨てて「コンパクト化」を果たせば多くのクリエイター層に訴求できますが、その一方でニッチな拡張性を犠牲にすれば、メディア関連のユーザーからは「役不足」に映る可能性もあります。

PCIeスロットの拡張性を残し、象徴としての大きな筐体サイズでブランドイメージを守るのか、それとも新たな最適解へ向かって刷新を行い、統合でシリーズの伝統を消し去るか。どちらの未来も疑問符が付くものになりそうです。

拡張性を保持しながら多くのユーザーを取り込める進化の方向性は無いのでしょうか?
進化の方向性その3:AI機能の民主化
Apple専用「AIアクセラレーターカード」が生まれる未来

Mac Proが小型化しないのであれば、「AIアクセラレーターカード」を実装でき、AI研究や大規模な3Dレンダリングなどに特化した「次世代ワークステーション」になるシナリオも考えられます。
AIとの対話の中で生まれた次世代Mac Pro第3の進化軸は、PCIe Gen 5スロットにApple独自のAIアクセラレーターカード(仮称:Apple Neural Accelerator)を搭載できるという未来です。

AIアクセラレーターカードとは、AI計算を高速化する専用プロセッサのことです。NVIDIAのH100、AMDのInstinct MI300などのGPUが存在しますが、どのカードもMac Pro(2023)で利用することはできません。
PCIeスロットに装着するFPGAアクセラレーターカードは、基本的にWindowsやLinuxをサポートするため、macOSの互換性は課題です。もしAppleが自社製AIアクセラレーターカードを製造すれば、需要は増えると思われます。
何より素晴らしいのは、AIアクセラレーターカードを搭載すればローカルで膨大なAI計算が可能になる点で、クラウド利用時よりもコストを削減できます。ユーザーのプライバシー保護を優先するAppleの姿勢とも合致するはずです。

Apple独自のAIアクセラレーターカード、非常にワクワクしますね。
筐体サイズについて
次世代Mac Proは、現行のタワー型(51.8×21.1×45cm)を継承・維持するフルサイズモデルと、やや小型化した「Mac Pro mini (仮称)」(30×20×40cm)を同時発売すれば、さらに需要が高まるだろうと私は思います。

フルサイズの次世代Mac Proは、PCIe Gen 5スロットを6〜8個を備え、従来モデルのメディア関連用途以外に、AI研究者に向けた開発環境を提供します。ニッチな需要をさらに広げ、AI分野でも存在感を示すモデルです。
一方のMac Pro miniは、スロットを4〜5個に絞り、個人研究者(例:Core ML訓練)、クリエイター(例:Final Cut ProのAI編集)をメインターゲットとします。販売価格をフルサイズよりも安価にすれば、一般需要も見込めるでしょう。
Apple独自のAIアクセラレーターカードは魅力的ですが、フルサイズのMac Proと同時購入すると費用が跳ね上がることが予測されるため、世界的な出荷台数増加を見込むためには、ミニサイズも同時展開すべきです。

専門機関はフルサイズを、クリエイターや個人研究者はminiを、といった棲み分けができますね。
実現に向けた課題
現在のAppleが打ち出しているAppleシリコンの統合型SoC設計思想は、PCIe拡張に相反するものです。Apple独自のAIアクセラレーターカード開発は、Appleに大幅な戦略転換(モジュラー設計の容認)を求めるものになるでしょう。

また、市場規模は不確実です。AI研究者需要が増加することは確実ですが、クリエイターやスタートアップ企業での需要は、AppleのAI SDK拡充(例:App StoreでCore ML配布)などに依存するだろうとAIは分析しています。
AIは、Apple製AIカードの想定販売価格を20万円程度と予測しています。AIカード需要の裾野が広がった場合、「果たして投資に見合った恩恵を授かれるのか」という疑問を払拭することがAppleに求められるかもしれません。

AIアクセラレーターカードでMacの計算能力が飛躍的に向上、面白そうな進化ですね!
まとめ
初代Mac Proは、ユーザーが内部へアクセスしながらパーツを気軽に交換できる「DIY精神」に満ちた構造を持っていました。その設計思想は続く2013年モデルで劇的に変化し、2019年には再度「チーズおろし」が原点回帰します。

そして現行モデルは、Appleシリコンの設計思想と拡張性の排他と板挟みになり、2013年モデルと同様、拡張性に乏しい仕様になっています。この流れをどうにかできないものか、というのが本記事のスタートラインでした。
AIと未来予測を重ねた結果、画期的な「Apple独自のAIアクセラレーターカード」の未来が生まれました。私はこれこそがPC界で「ハイエンドワークステーション」の地位を奪還できる切り札になると確信しています。

Appleが未来のMac Proでモジュール型のAIアクセラレーターを提供するようになれば、それが新しいPC市場のスタンダードになるかもしれません。

AI分野で遅れをとっていたAppleが一気に挽回できるシナリオだと思います。
Appleは「AI民主化」を目指すか?
Appleは2024年に「Apple Intelligence」を発表し、長く遅れを取っていたAI分野へ積極的に介入する意思を示しています。Windows OSで「AI PC」が誕生している今、独自のAIカード開発は大きな意味を持つことでしょう。

オールインワンを重視するAppleは、設計思想を変えて初代Mac ProのようなDIYフレンドリー精神に回帰するでしょうか?「自社製品による拡張性の担保」という大義名分があるので、私は十分に起こり得ると考えます。
Mac Proの魅力は、初代や2019年モデルが持っていた拡張性に尽きます。私もパーツ交換や増設を行いながら、2010モデルで様々なアップグレードを楽しみました。AIカードの未来は、この時のワクワク感を想起させるものです。
専門機関だけではなく、幅広い人々がAIの恩恵に触れられる未来。それこそが「AI民主化」であり、今回予測した次世代Mac Proの理想像でもあります。多くの人が笑顔になれるMac Proの未来に期待しましょう。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
コメント