
「MMORPG」の未来はどうなっていくと予想しますか?

MMORPGの未来には、いくつかのトレンドや技術進化が影響を与えると予想されます。
MMORPGは、大規模人数のプレイヤーがオンラインで一緒にプレイできるロールプレイングゲームのジャンルを指す言葉です。私はWebライター時代、多数のMMORPGをプレイ込みの記事にしてきた経験があります。

MMORPGというジャンルは誕生時点で様式美が確立されており、現在もデザインとプレイ体験に大きな変化はありません。今後新たなファン層を獲得するためには、ユーザーを惹きつけるための「何か」が必要です。
今回は、「未来のMMORPG」の可能性についてAIに予測を立ててもらいつつ、「AIをゲーム開発に取り入れること」によって変化を遂げる可能性のあるコンテンツについて、一緒に考察を行なっていきます。

それでは早速見ていきましょう!
MMORPGの未来予測とAIを導入した開発スタイルの可能性・課題について考察
AIによるMMORPGの未来予測
未来のMMORPGは「次世代XR」で進化する

2030年までに、XR技術(VR/AR/MR)とクラウドゲーミングが統合され、MMORPGは「フルダイブ型の仮想世界」に近づくでしょう。
AIは非常に大胆な未来予測を立てました。現在のMMORPGは、PC・スマホ・家庭用ゲーム機で「棲み分け」が出来ている状態ですが、XR技術とクラウドゲーミングの融合が「突破口」を開く可能性がある、というのです。

ゲーム世界を体感するデバイスの進化、つまり2024年に話題になったXR技術の進化が、この未来予測に真実味を与えます。仮想世界に革命を起こす次世代XR技術の詳細については、当サイトの該当記事をご参照下さい。
PCでもスマホでも家庭用ゲーム機でもない、第4の選択肢として次世代XRヘッドセットと専用コントローラーが普及し、冒険者の体験を次世代型にアップグレードする未来。これは非常にワクワクする未来予測と言えます。
ゲーム世界に触れられる未来
例えば、プレイヤーが次世代型仮想現実ファンタジー世界に入り込みながら、触覚センサーが組み込まれたコントローラーを扱うことで「ゲーム内のオブジェクトに触れる」体験を得られる。こんな未来をAIは掲示します。

また、現実世界の情報を透過形式で映し出しながら、そこに連動する形でゲーム世界を楽しむことができるかもしれません。従来の2D画面を超えるプレイ体験の創出は、MMORPGに「新たな側面」をもたらすことになるでしょう。
次世代XRデバイスで起こるゲームの進化は、MMORPG以外のジャンルでも起こり得ますが、そこに「クラウドゲーミングサービス」というシステムを取り入れることで、MMORPGがより一層輝く未来が見えてくるのです。
クラウドゲーミングサービスと次世代XR技術の融合
「クラウドゲーミングサービス」とは、ゲームの描画処理を本体ではなくインターネットの「クラウド上」で行う仕組みで、これによってデバイスの性能を問わず「均一なグラフィック描画」を実現する技術とサービスを指します。
NVIDIAは数年前からクラウドゲーミングサービス「GeForce Now」を展開しており、購入済みのPCゲームを手持ちの様々なデバイスで遊べる環境が整っていますが、AIはこの仕組みがさらに進化する未来を見ています。

不特定多数のユーザーが同じ世界を冒険するMMORPGの場合、現状のVRデバイスではグラフィックの描画負荷が高くなります。AIの未来予測を実現するためには、次世代XR技術とクラウドゲーミングの融合が必須なのです。
次世代XRデバイスにクラウドゲーミング方式の描画を組み合わせれば、本体に要求されるスペックは下がり、ヘッドセット単体でもゲーミングPC並みの描画を期待できます。半導体の計算で起こる発熱問題を回避できる方式です。

「エッジデバイスで描画する必要が無い」という点がこの未来予測の画期的な部分で、クラウドゲーミングで配信されるタイトルは基本的にアップデートを自動適応したものになるため、ユーザーの負担も減らすことにも繋がります。

私の予測でも、現行のVRデバイス(Meta Quest 3、Valve Indexなど)では、高品質なMMORPG環境を実現するには制約が多いと考えています。

次世代XRデバイスがMMORPGのプレイ体験に革命を起こしそうですね。
AI導入で変わるMMORPGの未来
AIは「次世代のMMORPG」を創出できる
この項目では、「AI」をゲーム開発に参加させることによって、未来のMMORPGにはどういったコンテンツが生まれることになるのかを、AIに解説してもらいます。次世代型のMMORPGが生まれる未来像を見ていきましょう。

AI制御のリアルなNPC

AIの進化でゲームに登場するNPCがより一層リアルになり、難易度やストーリー展開が「プレイヤーの行動に応じて」変化し、ゲーム体験が動的に変わる未来が実現します。
NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の行動や会話を「AI制御」にするという開発の試みは、近年ますます加速する兆しを見せており、今後はメジャー企業やインディー開発者を問わず、さらに発展していくと思われます。

従来のNPCは「決められたパターンで行動すること」が一般的で、そこに「人間味の欠如」がありました。AI制御のNPCはこうした問題を回避し、リアルタイムで「人間のような反応」を見せるようになります。
AIにキャラクター制御を任せる未来予測については該当記事で特集していますので、ぜひ併せてご覧ください。AIに自動生成コンテンツを任せるとどうなるか、という未来予測の記事も参照いただくと幸いです。

毎回異なる反応を示すNPCが実装されれば、ゲーム世界はよりリアルになります。
ストーリーの自動生成

AIはプレイヤーの行動に基づいて、個別調整された独自のストーリー展開を作成できます。これによってプレイヤーが「自分だけの物語」を体験できるようになるのです。
MMORPGに限らず、現在物語要素を持つゲームには会話シーンに「プレイヤーの選択肢」が用意されており、プレイヤーが選んだ返答がストーリー展開に反映されるというシステムが用いられています。

ただ、この手法ではNPCの反応パターンにも限界があり、ストーリー分岐にも一定の制限が生まれます。会話と物語をAIに自動生成させることで、「プレイヤーの行動次第で異なる物語が展開するMMORPG」を生み出せるでしょう。
これを実現するためには、事前に世界観と設定、登場人物の行動規範などをAIに学習させ、「AIがどこまで物語を生成しても良いのか」決めておく必要がありますが、リプレイ性に富んだゲームが生まれることは間違いありません。

設定次第では、ストーリーが無限に広がるMMORPGが生まれますね。
無限生成されるミッションとクエスト

例えばオープンワールドゲームでは、AIがランダムに新しいクエストを生成し、キャラクターの行動やプレイの進行状況に応じて変化させることで、常に「新しい挑戦」が提供されます。
これまで、MMORPG内のクエストやミッションは「ほぼ人間の手」によって作られたものでしたが、この部分をAI制御の「自動生成コンテンツ」に置き換えることで、飛躍的なバリエーションが生まれるはずです。

この仕組みを実現するのにも「一定のルール作り」が必要になりそうですが、2024年11月に発売された「Microsoft Flight Simulator 2024」(外部リンク)は、AIが制御するミッションを採用・実装して話題を呼びました。
AI制御ミッション・クエストの面白さは、プレイヤー毎に「違ったプレイ体験」が生まれる点にあります。同じゲームで遊んでいたとしても、細かな部分で「プレイヤーの趣向」を反映したプレイ体験を得られるのです。

例えば、戦うことが好きなプレイヤーには「敵キャラクターを討伐するクエスト」を、探索が好きなプレイヤーには「宝物を発見するクエスト」を優先的に提供することも、AIであれば自由自在に調整できるでしょう。

今後は多くのゲームで「AIの自動生成コンテンツ」が採用されるかもしれません。
拡張を続けるゲーム世界

プロシージャル生成とAIを組み合わせることで、常に新しい地域・敵・報酬・ストーリーラインが生まれ、MMORPGの探索の幅を無限大に広げられます。
「プロシージャル(手続き型)生成」は、海外のゲーム作品を筆頭に多くのタイトルで取り入れられている技術・手法で、特にサンドボックスやサバイバルゲームなどのジャンルでは、ゲームマップの自動生成を多く見かけます。

ミッションやストーリーのみならず、ゲームマップまでAIの力で自動生成され続けたとしたら、あり得ないほど壮大なMMORPGが生まれ、長期間遊んでも「終わりが見えない」長寿タイトルになることでしょう。
マップの自動生成においてAIを活用することの利点については、この記事で詳しく特集していますので、ゲーム開発に興味がある方は、ぜひ一度ご覧ください。少ない予算で大作ゲームを生み出せる可能性があります。

AIを開発に参加させることで、息の長いオンラインゲームが生まれそうです。
24時間オンライン監視

AIが進化すれば、24時間リアルタイムでプレイヤーの状況を監視し、適切なタスクやチャレンジ、協力・対戦コンテンツを提供しながら、個々のゲーム体験を調整できます。
これは、「24時間休むことがない」というAIの特性を最大限に発揮できる未来予測と言えます。オンライン監視員として人間を雇い入れる必要がなくなり、ゲームを運営する立場の人は、大いに助かることでしょう。

MMORPGの世界では、何らかの不具合が発生した際、迅速に対処してくれる運営がユーザーに人気を博す傾向が高いため、常時プレイを監視しながら、片時も目を離すことがないAIの存在は非常に頼もしいはずです。
プレイヤーの行動を逐一監視しながら、進捗状況に応じて適切なミッションやチャレンジ、対戦のマッチングなどを行ってくれるという点に、AIの大きなアドバンテージがあります。実現に期待したい未来予測です。

人間では体力面で不安が残る運営とオンライン監視作業も、AIなら難なくこなせますね。
AI制御のMMORPGに待ち受ける課題
「24時間監視システム」のコスト
AIを組み込んだ「24時間監視システム」を運用するためには、非常に高い計算能力が必要になります。サーバーのコストや電力消費量が飛躍的に増加するため、開発者や運営者にとって経済的な負担となりかねません。

「AI監視サービス」が安価に提供されれば、この課題を解決できる可能性が生まれます。低コストで高機能なAI監視システムが誕生することで、インディーゲームデベロッパーも大手企業と同等のサービスを提供できるでしょう。
AIによれば、クラウドサービスの活用、サブスクリプションモデルの導入、一部機能のオープンソース化などを行うことで、開発コストは下がる可能性があります。画期的なAI監視サービスが誕生する未来に期待したいですね。

多くのゲーム開発者が利用できるAI監視サービスの登場が待たれます。
AI生成コンテンツの不具合
AIに自動生成コンテンツを任せることで、人間が開発を手がけていた場合とは異なるレベルのバグや不具合が発生する可能性も出てきます。例えばゲームが進行不可になった場合などには、プレイヤーにもストレスがかかるでしょう。

また、NPCのセリフや行動をAI制御にした場合、「ゲームの世界観や設定を超えた発言や行動」をしてしまうことも十分に考えられます。もしこうした不具合が発生すれば、ゲームへの没入感が大いに削がれ、評価も下がるはずです。
こうした事態を回避するためには、人間の開発者が予めゲームの世界観と設定をAIに厳しく事前学習させ、世界観を逸脱した言動や行動を行わないように「教育」しておく必要があります。手間と労力のかかる作業です。

NPCやストーリーを完全にAI制御にするハードルは、かなり高そうですね。
法律面における課題
AIが自動生成するコンテンツが、「著作権」や「商標権」を侵害する可能性は否定できません。またAI利用に伴う倫理的・法律的な枠組みと規制が各国で異なるため、他国でゲームを配信する際の「法務課題」も生まれます。

キャラクターや報酬アイテムの「外見」をAIで自動生成した場合、他者との類似性をどれだけ回避できるのか、という課題は非常に難しいものです。AI自動生成の課題として広範囲で継続的に議論を呼んでいくことでしょう。
基本的にAIは、事前学習した画像やパターンに「類似したもの」を出力するため、完全にオリジナルなキャラクターやアイテムを生み出すことは現時点で難しく、そこにAIの自動生成が抱える根本的な問題があると思います。

これは生成AI画像や動画の分野でも問題になりそうですね。

この課題に対処するためには、AI技術の進歩だけでなく、人間による積極的な介入と監視、そしてユーザー体験を重視した開発とデザイン設計が不可欠です。
まとめ
AIは、MMORPGの未来に関して「次世代XR技術」「クラウドゲーミング」のキーワードを用いながら予測を立ててくれました。これらの技術進化によって、MMORPGはその有り様を大きく変えることでしょう。

ゲーム世界の描写がテレビやモニター画面を超え、二次元から仮想空間にまで広がっていく光景は、確かに未来を感じさせてくれる予測で、拡張されたゲーム体験が得られる日は、それほど遠くないのかもしれません。
その一方、従来の仕組みを維持しながら展開する2DのMMORPGも残り続けると私は思います。どちらが良いというのではなく、新旧が共存しながらゲーム業界が発展していくスタイルが最も健全だと考えるからです。

レトロなスタイルと最先端のスタイル、どちらのMMORPGも魅力的です。
「人間とAIの共同作業」が未来のカギに
AIをゲーム開発に参加させ、ゲーム世界を制御させていく未来予測では、遠回しに「AIはMMORPGを作って運営することもできますよ」と宣言されているようでした。課題はありますが、不可能ではないはずです。

ただし、ゲーム制作・運営の全てをAIに任せられるのかと問われると、現在は難しい側面が多いと思います。また個人的に、「AIは本当に面白いゲームを作れるのか」という点にも疑問符が生まれます。
未来のMMORPGは、こうしたポテンシャルを秘めたAIを「ツール」として適材適所で活用しながら、人間とAIの共同作業をうまく具現化できる開発者が、次世代のプレイ体験を切り拓いていくことになるでしょう。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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