
AIが進化すれば、マップの自動生成システムも大幅にパワーアップできそうですね。

まさにその通りです!AIの進化でマップ自動生成システムはさらに現実味を持ち、プレイヤーの体験に深みを加えることができるでしょう。
記事の前編では、少人数の開発者でも短期間・低コストでゲームマップを生み出せるプロシージャル生成システムの仕組みやその課題について、AIと一緒に考察してきました。今回は、未来のゲームマップ自動生成の可能性に迫ります。

AIが現在よりも進化を遂げ、深いレベルでゲームエンジンに融合することによって実現する「ゲームマップ自動生成の未来」とは、どのようなものなのでしょうか?AIの具体的な未来予測を交えた考察を見ていきましょう。

それでは早速見ていきましょう!
AIが考える「ゲームマップ自動生成の未来」を考察
ゲームマップ自動生成の未来予測
AIとの対話でマップを自動生成

開発者がAIに対して、自動生成させるエリアの「背景や目的」を理解させることで、AIは「リアルなマップ」を生成できるはずです。
ここでAIが言及している「リアルなマップ」とは、見た目のことではなく「環境や経済的なリアルさ」のことです。例えば、RPG作品に登場する農村や都市部をAIにリクエストする場合、この仕組みが役立つ可能性があります。

開発者がAIに向かって「この都市は人口が何万人程度です」などの事前情報を教えることで、AIはその規模に見合った住宅地・商業施設・農村・森林などの配置を決めることができます。これは十分にあり得る未来像です。
現実世界で人間が多数暮らしている場所には、それに見合ったインフラが存在します。もし開発者がこうした「リアリティー」をゲーム世界に取り入れたい場合、AIは良き理解者として働いてくれるでしょう。
エージェントベースシミュレーションによる自動生成

AIが「エージェントベースシミュレーション」システムを使えば、キャラクター間の相互作用や、時間経過に応じた都市の成長や変化などを動的にシミュレートできます。
「エージェントベースシミュレーション(ABS)」は、複雑な社会現象を分析・予測できる進化的なプログラム手法で、これは現在「交通渋滞の解消」「災害時の避難計画」「マーケティング戦略の最適化」で成果を上げています。

AIがABSシステムをゲーム開発で柔軟に利用できるようになれば、経年によって都市部にどのような進化・劣化していくのかを、リアリティー満点にシミュレートできるようになるそうです。これは楽しみな未来予測ですね。
例えばRPGの主人公が冒険を終えて故郷に戻ると、かつての小さな村が繁栄した都市に変わっていたり、逆に放置されていた地域が荒廃していたりといった動的な変化が自動で起こるため、没入感も大いに増していくはずです。
ゲーム業界におけるABSの導入例
ABSは、学術的な意味合いで用いられる場合と、商業ゲームで取り入れられる場合では実装レベルに大きな差がありますが、部分的または限定的にABSの概念やシステムを取り入れたゲーム作品は、少数ながら存在しています。

『The Sims』シリーズでは、ABSの特性を活かして個々のキャラクターが「独自のニーズ」に基づいて行動するメカニズムを生み出しています。『Dwarf Fortress』(外部リンク)に登場するドワーフたちの行動も同じです。
コロニー管理シム『RimWorld』(外部リンク)の場合、入植者がストレスによって他のキャラクターへ影響を与える部分に、ABSの相互作用モデルが活用されています。個別の行動から社会状況を生み出せる好事例と言えるでしょう。

これらの例は主にキャラクターに関するものですが、ABSは複雑な社会現象を分析・予測できるプログラム手法なので、ワールドの環境全体をシミュレートしながら自動生成していく未来も大いにあり得ると私は思います。

個人開発者でもリアルなRPGやSLGを生み出せる未来予測ですね。
強化学習によるリアルタイム生成

強化学習した生成AIをゲーム開発に利用すれば、ランダムでありながらも合理性や整合性を持つマップを自動生成できるはずです。
AIの「強化学習」を活用すれば、ゲーム内の都市や環境を驚くほど動的に進化させられる未来が訪れます。例えば、AIに都市の気候、人口などを学習させれば、家具の配置や建物のデザインが環境に応じて自然に変化します。

例えば、暑い地域では通気性の良い家屋が建ち、寒冷地では暖炉が備わる、といった具合です。具体的な情報が多いほど、変化していく街並みを生み出すことができ、「生きているゲーム世界」を作ることができるでしょう。

既存のゲームでも季節や天候変化は見られますが、多くは決まったパターンです。強化学習なら街並みが柔軟に進化するため、未体験のリアリティーが実現するはずです。AIが織りなす未来のゲーム世界に期待が高まります。

事前設定を煮詰めるほど、より「リアル」な世界とマップが生まれそうですね。
スタイルに応じた環境の自動生成

将来はAIがゲーム内の「プレイヤーの行動やスタイル」を分析して、それに基づいてレイアウトを変化させたり、新しい建物やエリアを生成することも考えられます。
AI自身が語るこの進化の可能性は、例えばダンジョン探索型のゲームなどで威力を発揮しそうです。プレイヤーによって異なる技量やプレイスタイルをAIが分析しながら、新たなマップやアイテム、敵の配置を提示できますね。

アクションゲームが得意なプレイヤーをAIが検知した場合、さらに歯応えを感じさせる敵キャラクターが登場する「難解な新マップ」を動的に生み出すことで、ユーザーのチャレンジ精神を大いに刺激しそうです。
AIの進化による自動生成の未来は、従来のプロシージャル生成システムが持っていた課題を克服できるもので、マップのみならず、世界観の変化にも対応できる点で驚異的です。今後の動向が気になる未来と言えますね。

AIの進化に伴うプロシージャル生成の未来が楽しみですね!
後編まとめ
現在多くの分野で実績を積み重ねている状況を見てお分かりの通り、AIは自動生成の技術に関して大きなアドバンテージを持つツールです。ゲーム開発現場でこの機能を応用しない手はないと、個人的には考えています。

従来通り「すべてを人間の手で設計する」ゲーム開発手法は今後も残っていくでしょうし、それを否定する気も全くありませんが、ここでお伝えしたい重要な点は、個人でも大作ゲームを作れる未来が来る、ということです。
ゲーム開発現場において世界的な利用者を持つ3DCGツール「Unreal Engine」(外部リンク)は、すでに少人数開発者の要望に応える優れたUIとゲームデザイン、システムを提供してくれます。後はAIのピースをどこに収めるかです。

AIの進化が実現すれば、ゲーム開発がさらに多様で柔軟なものになると思います。
AIがゲーム開発で活躍する未来
ゲームを作ろうと思い立ち、壮大なストーリーを頭の中で描いても、いざプログラムを行う際に行き詰まる開発者は多いと思います。進化したAIをパートナーとして使えば、これらの問題は簡単に解決できるかもしれません。

「この都市はこうした歴史を持つ」「そこで暮らす人々はこれを大切にしている」といった事前情報をAIに学習させて伝えるだけで、それに相応しい都市部を含む広大な世界がAIによって自動生成される未来、素敵ですよね。
今回AIが予測したゲームにおける自動生成マップの進化が起こるのは、決して遠い将来ではないと考えています。「生きているゲーム世界」を多くの開発者が簡単に生み出せる未来は、すぐそこまで来ているのです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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