
AIが普及してから、スマートシティの構想は大きく変化を遂げましたね。

世界の国や地域で行われている事例を見ると、各都市がAIを活用しながら独自の課題解決に取り組んでいることが分かります。
「IoT(インターネット接続)を活用し、都市の効率性・持続可能性・住民の利便性を向上させる未来型都市」という定義を持つ現代のスマートシティは、近年のAI普及に伴って”新たな開発次元”へ突入しています。

現代編の今回は、「AIスマートシティの定義」を再確認しながら世界の国と地域におけるAIスマートシティの事例をご紹介し、未来都市の実現に向けた取り組みと課題をAIと一緒に考察していきます。

それでは早速見ていきましょう!
第二部「スマートシティの現在」:世界の国と地域の取り組みと未来へ向けた課題をAIと一緒に考察
AIスマートシティの定義
現代のAIスマートシティは、「AI技術でデータをリアルタイム解析・予測しながら、効率化と持続可能性を高めるための意思決定を支援・実行し、課題解決と住民の生活向上を実現する都市」と定義されます。

この定義には、人間の最終的な監督・承認の下で、システムが最適化されたタスクを自動実行する「限定的な自律性」や、AIが交通流量やエネルギー需要を予測し、即座に対応策を提案する「リアルタイム解析と予測」が含まれます。

また、都市交通管理・エネルギー管理・犯罪防止・災害対応・医療・インフラ管理など、広範な分野でAIのテクノロジーと力を活用する「多様な応用範囲」も、AIスマートシティの定義に含めるべき特徴と言えるでしょう。

従来のスマートシティ構想が”AIによるデータ駆動型の意思決定構造”へと進化したのは、2010年代中頃からと考えられます。

AIスマートシティの定義が生まれたのは最近なのですね。
世界の国と地域の「AIスマートシティ」事例
アメリカにおけるAIスマートシティの事例
テキサス州ダラス|「Red Cloud Neighborhood Smart Cities Pilot Project」
2021年から開始されているダラスの「Red Cloud Neighborhood Smart Cities Pilot Project」は、「AIカメラ」やWi-Fi設備の設置を促進して犯罪行為を減らし、生活の質を向上させることを目的としたプロジェクトです。

このプロジェクトでは該当エリアの歩道、道路、路地が全て修復・再建され、そこに上記テクノロジーが組み込まれることで、地域で問題となっている麻薬売買や犯罪行為を抑止する成果を挙げています。

ダラス市・企業・市民団体・NGO団体・学界・個人などで構成される「ダラス・イノベーション・アライアンス」(外部リンク)が関わる同プロジェクトは、近隣地域への拡大も検討されているそうです。


このプロジェクトでは、AIスマートシティが単なる技術のショーケースではなく、住民の実際のニーズに応えられるAIツールを提供できることがよく分かります。

「住民の生活向上を実現する」というAIスマートシティの定義を実践しています。
ヨーロッパにおけるAIスマートシティの事例
スペイン・バルセロナ|「Barcelona Digital City」
バルセロナ市は、スマートシティ計画「Barcelona Digital City」の枠組みの中で、市と技術企業(Hayden AIなど)による最新AI技術の導入を推進しており、この取り組みは今も進化を遂げている最中です。

市では、AIを活用したバス停・バスレーンの監視システム「Barcelona Bus Lane Pilot」が試験導入されており、バスレーンにおける違反車両の検出や、公共交通の効率化に役立っています。

バルセロナは市の公式サイト(外部リンク)で、イノベーションと実験を促進する新条例を制定する姿勢を表明。今後はAIとIoTのさらなる統合を目指し、都市サービスの持続可能性と効率化を目指す予定です。

バスレーン監視のような実用的なプロジェクトが、都市の公平性確保や持続可能性を高める方向に進んでいるのは、他の都市にとっても大いに参考になるはずです。

バルセロナは「都市課題を解決する」というスマートシティの定義を実践していますね。
市民を尊重するスマートシティ計画
2022年にバルセロナ市は、「スマートシティ技術の倫理的使用に関する条例」を施行しています。この条例は、AIやデータ収集が、市民のプライバシーや権利を侵害しないようにするガイドラインです。

条例ではAIを用いた監視システム、例えばバスレーン違反検知などにおいて、収集データの匿名化、透明性のあるシステム運用が義務付けられており、市民のプライバシーと権利を明確に確保しています。

AIやIoTの急速な発展・進化に伴うスマートシティのリスク(プライバシー侵害やデータ濫用等)を事前に予見し、条例で枠組みを設けるバルセロナの姿勢は、他都市と比べても先駆的と言えるでしょう。

AI導入が進む中、多くの都市が技術の利便性だけに目を奪われがちですが、バルセロナは市民の声や倫理を置き去りにせず、むしろそれらを計画の中核に据えている点が素晴らしいです。

市民が納得できる状態でAIスマートシティ化が実現していますね。
オランダ・アムステルダム|「Amsterdam InChange」
オランダの「Amsterdam InChange:外部リンク」は、AIを活用したデータ分析や都市サービスに焦点を当てたプロジェクトで、現在「都市運営の技術革新・デジタル化」を推進中です。

政府・専門機関・社会組織・企業の人材が参加している同プロジェクトは、ニュースやイベント、課題、機会を共有する仕組みを持ち、官民一体となって「より良い未来の実現」を目指しています。

参加メンバーがプロジェクトの進捗・課題・イベントについて投稿を行い、リアルタイムで参加者のフィードバックを得られる環境があるため、知識共有とアップデートが促進される点が魅力です。

オープンな意見交換と知識更新は、スマートシティの理念を「絵に描いた餅」ではなく、実際の行動に移すための鍵になっている、と私は思います。

立場を超えた人々が”多様な視点”を提供することは大切ですね。
アジア地域におけるAIスマートシティの事例
中国・杭州|「City Brain」
「City Brain」は、アリババクラウドの王堅(ワン・ジェン)博士が主導して2016年に始まったAI都市管理プロジェクトで、2025年に大規模言語モデル(LLM)「DeepSeek-R1」を統合した「3.0」へ進化しました。

「3.0」では、AIバーチャルアシスタントが24時間体制で法律・行政の相談に対応。医療分野ではオンライン診断・医療保険の問い合わせと手続きが効率化するなど、公共サービスに革新をもたらしています。

行政のデジタル化で窓口訪問が1回で済む割合は97%に達し、産業界ではAI管理で輸出のコストを30%削減。道路の移動時間は平均4.6分短縮するなど、同プロジェクトは効率的な都市環境を実現しました。

杭州のCity Brainは”AIを都市のOSとして機能させる”という点において、世界でも群を抜いて先進的で、特異な立ち位置にあると私は思います。

AIを積極的に都市管理へ活用している事例ですね。
シンガポール|「Smart Nation」
シンガポールの「Smart Nation(外部リンク)」は、デジタル開発情報省(MDDI)が主導する国家プロジェクトで、AI技術を交通管理・医療・公共安全・持続可能性に適用していくことを表明しています。

また研究機関・AI新興企業・AI製品開発企業のエコシステムを結集した機関「AIシンガポール」(AISG:外部リンク)は現在、国家レベルの研究協力に加え、未来を担うAI人材の育成も行なっています。


Smart Nationは「AI時代における民主的で持続可能な国家のロールモデル」と言えます。

プロジェクトの発展と進化が楽しみですね。
日本|静岡県裾野市「ウーブン・シティ (Woven City)」
2025年9月、トヨタは静岡県裾野市の「ウーブン・シティ (Woven City)」で実証実験を開始しました。住民が居住を開始し、今後は多様な企業と個人がプロダクトやサービスの実証を行っていく予定です。

ウーブン・バイ・トヨタが開発を進めるこの未来都市には、AI技術・ロボット・自律走行車・水素エネルギー技術が投入される予定で、最終的に約2,000人が暮らす「実験都市」になることが明かされています。

織機から自動車会社、そしてモビリティカンパニーへの変革を目指すトヨタは、一代での成功を目指すのではなく、次世代へのバトン継承を意識した「長距離の未来改革」に乗り出しているのだと、私は思います。

豊田会長の「永遠に未完成」という言葉通り、この都市が常に進化しながら、世界に新しい価値を提案し続けることを私も願っています。

この都市からどんな未来が生まれるのか楽しみです。
未来へ向けたAIスマートシティの課題
AIスマートシティではデータ収集が不可欠ですが、これが過剰な監視社会に繋がるリスクがあるため、収集データの取り扱いには慎重さが求められます。行政と企業、そして住民同士の話し合いは不可欠です。

また、AIスマートシティの開発に伴い、「デジタルデバイド(格差)」の解消は欠かせません。AIへの理解が深まっていない場合、賛成派と反対派の間で意見交換がスムーズに進まなくなる恐れがあります。

AIは様々なレベルで議論を生み出す存在で、国家によって法整備に違いがあるのが現状です。”都市のデジタル化”を促進するためには、国民の情報格差を是正する取り組みも同時に行う必要があるでしょう。

全ての人が安心して暮らせるスマートシティの未来に期待したいです。
第二部まとめ
スマートシティは現在、”AIの力”を獲得して各国で急速に進化を遂げています。過去から続くこの「世紀を超える人類の挑戦」を成功させるカギは”官民一体の開発”で、共に課題に対処していく姿勢が必要です。

都市は、様々なライフスタイルや意見を持った人達の集合体です。AIスマートシティの未来計画を健全な状態で進めたい場合、こうした”異なる立場”にある人々の意見も尊重することが大切になるでしょう。

第三部の未来編では、AIが考えた「2100年のスマートシティ」をご紹介しながら、その未来予測に通じる現代の技術と実現の課題を考察しつつ、”未来のスマートシティが目指す道”を探っていきます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!



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