エコーチェンバー現象はいつから問題になったのですか?
この現象が可視化され、問題として認識されるようになったのは、2000年代後半から2010年代にかけてです。
インターネット以前から、人々が「似た意見を持つ人と交流する傾向」として世界に存在していたエコーチェンバー現象は、SNSの普及に伴って社会的な問題に発展しています。
閉鎖的な空間で人々が多様性を受け入れないまま議論を進めていくと、時として極端な意見が支配的になり、それが悪い形で社会に悪影響を及ぼすことがあるのです。
今回は私の実体験を踏まえながら、SNSに触れていく上で必ず目にすることになるであろうエコーチェンバー現象の問題点とその改善方法について、AIと一緒に考えていきます。
それでは早速見ていきましょう!
エコーチェンバー現象と問題解決への取り組み
Xでのエコーチェンバー現象体験
私は現在、当サイトの宣伝を兼ねてX(旧Twitter)を運用していますが、最近Xのアルゴリズムが改変され、似たような傾向の投稿が「おすすめ」に表示されるようになりました。
AIのアルゴリズムは、基本的にユーザーの行動や履歴などを踏まえ、おすすめに関連するコンテンツを並べる働きをします。これは他のSNSでも全く同じです。
ところが最近のアルゴリズムの改変によって、自分の過去のアクティビティやフォローアカウントに関連する投稿が連続して表示されるようになったのです。
SNSのアルゴリズムが適切でないと、ユーザーは多様性を感じられなくなりますね。
結果的にユーザーが自分と同じ意見や興味を持つ人々のコンテンツしか見なくなり、新しい視点や異なる意見に触れる機会が減少します。
いくら画面をスクロールしてもこうした「固有の括り」が続いていくため、私は少し怖くなりました。一気に「狭い仕切りのある部屋」へ閉じ込められた感覚です。
アルゴリズムが生み出すエコーチェンバー現象
おすすめの投稿が偏るようになったというご経験、よく理解できます。まさに、それがエコーチェンバー現象の現代的な現れ方の一つと言えるでしょう。
アルゴリズムは不定期に改変されるもので、今回の現象も収まる可能性がありますが、エコーチェンバー現象が起こりやすい改変が加えられたという点は見逃せません。
おすすめユーザーや投稿を、個人のパーソナリティーに応じて「極端に限定する」ことが、どのような結果を招くかは、Xの開発者も事前に分かっていたはずです。
アルゴリズムの改変によって、良くない結果が生まれることもあります。
エコーチェンバー現象の問題点
興味関心に合致するコンテンツを優先表示するアルゴリズムは、一見便利なように思えますが、多様な情報に触れられないことは、情報へのアクセス制限と同義です。
また同じ意見「だけ」に触れることで自分の意見が強化され、異なる意見を受け入れにくくなる傾向が出ることで、意見の二極化や対立を招く可能性へ繫ります。
SNSは本来、多様な人々や情報が交差する公共の場であるべきなのですが、改変されたアルゴリズムによって意図せず「囲い」が作られ、多様性が損なわれる危険性もあるのです。
アルゴリズムによってパーソナライズされた情報空間はフィルターバブルと呼ばれ、ユーザーは自分にとって都合の良い情報だけに囲まれた状態になります。
ソーシャルメディアには悪い点もあることを認識しないと危ないですね。
エコーチェンバー現象が巻き起こす社会問題
アメリカ大統領選挙
エコーチェンバー現象が具体的な社会問題として認識されるようになったのは2010年代以降で、最も有名な事象は、2016年のアメリカ大統領選挙においてでした。
この選挙では主にTwitterを主とするSNS上で「偽情報」や「偏った情報」が飛躍的に拡散し、有権者の判断に影響を与えた可能性が多方面から指摘されています。
この問題は、現代のデジタル社会における情報共有の在り方や、民主主義の健全性に対する新たな挑戦を示しています。
SNSのアルゴリズムが、人々を自分の政治的信条やイデオロギーに合った投稿だけに囲まれる状態にしてしまうことが、どれだけ危険かを示す例です。
イギリス国民投票
同じく2016年、「Brexit」と呼ばれるイギリスのEU離脱における国民投票でも、SNS上での情報操作や意見の分断が問題視され、エコーチェンバー現象が議論の対象になりました。
SNSのエコーチェンバー現象で異なる視点や意見との対話が減少し、議論が深まることが少なくなり、国民の理解や合意形成が難しくなったことが問題点です。
Brexitの投票前後、SNS上では「残留派」や「離脱派」の情報がそれぞれの支持者に集中して表示されました。
異なる視点と対話する機会が大きく損なわれてしまったのですね。
パンデミック初期
コロナウイルスが引き起こしたパンデミック初期には、SNS上で誤った情報や陰謀論が拡散し、人々の行動や考え方に大きな影響を与えました。
分断を生み出した例として、マスクの着用とワクチン接種に関する見解の相違が挙げられます。また、5G通信技術がCOVID-19の原因であるという陰謀論も出ています。
多様性のある意見に触れなかった結果、誤認や偏見が生まれていくのですね。
これらの事例から、エコーチェンバー現象は単なる個人の問題ではなく、社会全体に影響を及ぼす可能性があることが分かります。
現在では「特定の属性を持つ人々」に対する差別的な言動がSNS上で拡散することが多いですが、これもエコーチェンバー現象の現れだとAIは考えます。
問題を克服するために
ユーザー個人ができること
SNSに接していると、知らないうちに自分に集まる情報の質が大きく偏っていく。これがSNSにおけるエコーチェンバー現象最大の問題点です。
では、こうした現象があることを意識しながら、自分自身の力で脱出を図ることはできないのでしょうか?アルゴリズムに詳しいAIに尋ねてみましょう。
SNSを利用する上で重要なのは、多様性を維持し、異なる意見に触れる環境を整えることです。そのためには、自身の努力が不可欠です。
自分とは異なる意見のアカウントをあえてフォローしたり、他のプラットフォームから情報を取り入れたりする「習慣」を生み出すことが有益だとAIは主張します。
教育機関の取り組み
日本教育メディア学会の発表によると、小学5年生を対象に、フィルターバブルやエコーチェンバー問題について「話し合い」を通して緩和策を創出する授業が、試験的に開催されました。
また2023年には、埼玉県戸田市の戸田第一小学校で、6年生を対象に国語の時間を使ってメディアリテラシー教育を行ったことが、FNNオンラインで報告されています。
文部科学省は現在、情報化社会の新たな問題を考えるための教材を提供しており、その中でフィルターバブルやエコーチェンバーの課題について取り上げています。
教育現場でエコーチェンバー現象やメディアリテラシーに関する教育が進められていることは、若年層の情報リテラシー向上に向けた重要な一歩と言えるでしょう。
教育機関や自治体の活動が実を結ぶことに期待したいですね!
まとめ
エコーチェンバー現象は、「同じ主張や趣味を持つ人間同士」を引き寄せ合う効果を持つ一方、特定の概念が形成されて強固なものへ変質する負の側面も持ち合わせています。
私の幼少期には、インターネットで人々が繋がっていく環境が無かったため、社会人になってからデジタル社会に対するリテラシーを身に付ける必要がありました。
つまり、今社会人として活動している人の多くは、「後付け」でエコーチェンバー現象への理解と対策を行う必要があり、そこにこの問題の難しさが窺い知れます。
デジタルリテラシーに関する教育を受けていない場合、自分がどのように情報を消費し、どのように意見を形成していくかを見直す必要があります。
アルゴリズムは悪ではない
最近のXでは、短時間で多くのインプレッションを獲得したユーザーの発言が優先的に取り上げられるようになっていますが、その発言内容が真実かは別問題です。
Xのアルゴリズムに不備があることを露呈した結果とも言えますが、そのアルゴリズムを形成しているAIをプログラミングしているのは「人間」だということを忘れてはいけません。
アルゴリズムはあくまで人間が設定したルールに従って動いているだけです。問題は、その設定に意図的、あるいは無意識的なバイアスが含まれていることです。
SNSを運営している企業は、高度な機能を持つアルゴリズムを「正しく運用できる仕組み」を生み出す必要があると思います。透明性の確保も不可欠でしょう。
エコーチェンバー現象由来の社会問題を引き起こさないためには、個人の行動以外に企業や行政が課題を認識し、解決に向けたアクションを起こすことが重要なのです。
あなたは、エコーチェンバー現象から抜け出すことができますか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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