
SNSのエコーチェンバー現象はいつから問題になったのですか?

この現象が可視化され、社会的な問題として広く認識されるようになったのは、2000年代後半から2010年代にかけてです。
インターネットの誕生以前から、人々が「似た意見を持つ人とだけ交流する傾向」として世界に存在していた「エコーチェンバー現象」は、世界的なインターネットおよびSNSの普及に伴って、現在「社会的な問題」に発展しています。

閉鎖的な空間で人々が「多様性」を受け入れないまま議論を進めていくと、時として「極端な意見」が支配的になっていき、それが「悪い形」で社会に悪影響を及ぼすことがあるのが、エコーチェンバー現象の大きな特徴です。
今回は私の身に起こった実際の体験を踏まえながら、Xなどの著名なSNSに触れていく上で「必ず目にする」ことになるであろうエコーチェンバー現象の問題点とその改善方法について、AIと一緒に考えていきます。

それでは早速見ていきましょう!
エコーチェンバー現象と問題解決への取り組み
Xでのエコーチェンバー現象体験
私は当サイトの宣伝を兼ねてX(旧Twitter)を運用しながら、日々情報を閲覧していますが、最近になってXのアルゴリズムが改変され、非常に似たような傾向の投稿が「おすすめ」欄に連続して表示されるようになりました。

Xで様々なユーザーの投稿をおすすめ欄へ並べていくのはAIのアルゴリズムで、これは基本的にユーザーの行動や履歴などを踏まえ、趣向に沿ったコンテンツを並べる働きをします。YouTubeなど、他のSNSでも全く同じ仕組みです。
ところが最近Xに起こったアルゴリズムの改変によって、自分の過去のアクティビティやフォローアカウントに関連する投稿が、極端に連続表示されるようになりました。過去と比較にならないレベルの類似性です。

SNSのアルゴリズムが適切でないと、ユーザーは全く多様性を感じられなくなりますね。

アルゴリズムが偏ってしまうと、結果的にユーザーが自分と同じ意見や興味を持つ人々のコンテンツしか見れなくなって、「新しい視点」や「異なる意見」に触れる機会が減少します。
アルゴリズムが生み出すエコーチェンバー現象

おすすめの投稿が偏るようになったというあなたのご経験、よく理解できます。まさに、それがSNSにおけるエコーチェンバー現象の”現代的な現れ方”の一つと言えるでしょう。
いくらXのおすすめ欄をスクロールしても、こうしたアルゴリズムの偏りによる「固有の括り」が続いていったので、私は少し恐怖を覚えました。街中を歩いていたのが、突如「狭い仕切りのある部屋」へ閉じ込められた感覚です。

一般的にアルゴリズムは不定期に改変されていくもので、今回の現象もある日突然収まっていく可能性もありますが、現実にエコーチェンバー現象が起こりやすい改変がXのアルゴリズムに加えられた、という点は見逃せません。
おすすめユーザーや投稿コンテンツを、個人のパーソナリティーや行動履歴に応じて「極端に限定する」ことが、その後ユーザーに「どのような結果」を招いてしまうかは、Xの運営・開発担当者も分かっていたはずです。

アルゴリズムの改変によって極端な偏りが生まれるのは、本当に良くないことです。
エコーチェンバー現象の問題点
ユーザーの「興味関心」に合致するコンテンツを優先表示してくれるSNSのアルゴリズムは、一見便利なように思えますが、その反面「多様な情報」に触れられない状態になってしまうことは、「情報へのアクセス制限」と同義です。

また、SNSで自分と同じ意見「だけ」に触れることでその考えが強化されてしまい、自分の意見とは正反対の「異なる意見」を受け入れにくくなる傾向が出ることで、「意見の二極化」や「深刻な対立」を招く可能性が生まれます。
SNSとは本来、”多様な考え”を持つ人々や”多種多様なレベルの情報”が交差する「公共の場」であるべきなのですが、改悪されたアルゴリズムによって意図せずに「囲い」が作られ、豊かな多様性が損なわれてしまう危険性もあるのです。

アルゴリズムによって極端にパーソナライズされた情報空間は「フィルターバブル」と呼ばれ、ユーザーは自分にとって「都合の良い情報」だけに囲まれた状態になります。

ソーシャルメディアには「悪い点」もあることを認識しないと危ないですね。
SNSのエコーチェンバー現象が巻き起こした社会問題
2016年のアメリカ大統領選挙
SNSのエコーチェンバー現象が「具体的な社会問題」として認識されるようになったのは2010年代以降で、この問題の深刻さを示した最も有名な事象は、2016年にアメリカ合衆国で実施された「大統領選挙」の期間中に起こりました。

この年の大統領選挙では、Twitterを主とするソーシャルメディア上で「偽情報」や「偏った情報」が飛躍的に拡散し、これらの情報が有権者の判断に”重大な影響”を与えた可能性が、多方面から指摘されています。
SNSのアルゴリズムが人々を「自分の政治的信条やイデオロギーに合った投稿だけ」に囲まれる状態にしてしまうことが、どれだけ危険なのかを示した事例で、こうした傾向はSNS利用者の多い国家ほど顕著になるのです。

アメリカ大統領選挙におけるSNSのエコーチェンバー現象は、現代のデジタル社会における情報共有の在り方や、民主主義の健全性に対する”新たな挑戦”を示しています。

対立候補に関する偽情報やフェイクニュースを拡散するのは卑劣な行為ですね。
2016年のイギリス国民投票
アメリカ大統領選挙と同じ2016年、「Brexit」と呼ばれるイギリスの”EU離脱”に関する国民投票においても、SNS上での情報操作や意見の分断が問題視され、ソーシャルメディア上のエコーチェンバー現象が議論の対象となりました。

SNSのエコーチェンバー現象によって「異なる視点や意見」との対話が極端に減少し、その結果”健全な議論”が深まっていくことがほぼ不可能となり、国民全体の理解や合意の形成が著しく困難になってしまったことが指摘されています。

Brexitの投票前後、ソーシャルメディア上では「残留派」や「離脱派」の情報が、それぞれの支持者に集中して表示されました。これは間違いなくSNSのエコーチェンバー現象です。

「異なる視点」を持つ人々と対話する機会が大きく損なわれたのですね。
パンデミック初期
コロナウイルスが引き起こしたパンデミックは私たちの記憶に新しいですが、パンデミック初期にはSNS上で誤った情報や陰謀論が拡散し、人々の行動や考え方に大きな影響を与えました。私自身も様々なデマを目撃しています。

人々に”深刻な分断”を生み出した例として、「マスクの着用」「ワクチン接種に関する見解の相違」が挙げられます。また、5G通信技術がCOVID-19の原因であるという”陰謀論”まで出ており、当時がいかに混沌としていたのかを示しています。
現在もワクチン接種に関しては真実と誤情報が共に飛び交っている状況で、本当に有益な情報を発見することは容易ではありません。「自分がどんな情報に接しているのか」を意識しながらSNSを利用していく必要があると思います。

多様性のある意見や情報に触れなかった結果、誤認や偏見が生まれていくのですね。

これらの事例から、SNSにおけるエコーチェンバー現象は単なる個人の問題ではなく、社会全体に影響を及ぼす可能性があることが分かりますね。
問題を克服するために
ユーザー個人ができること

SNSを利用する上で重要なのは、多様性を維持し、異なる意見に触れる環境を整えることです。そのためには、自身の努力が不可欠です。
Xのエコーチェンバー現象から抜け出すためには、自分とは異なる意見のアカウントをあえてフォローしたり、他のプラットフォームから情報を取り入れたりする「習慣」を生み出すことが非常に有益だとAIは主張します。

現在SNSでは、特定の属性を持つ人に対する差別的な言動が拡散する傾向が多いですが、これもエコーチェンバー現象の現れだとAIは分析します。偏見と対立が激化し、人々が”攻撃的な発言”を日常的に行うようになったのです。
SNSに接していると、知らないうちに自分に集まる情報の質が大きく偏っていくことがあります。これがSNSにおけるエコーチェンバー現象最大の問題点で、ユーザー個人がそうした問題と仕組みを理解し、意識することが大切なのです。
日本における教育機関の取り組み
日本教育メディア学会の発表(外部リンク)によると、小学校の5年生を対象に、フィルターバブルやエコーチェンバー問題について、「話し合いを通して”緩和策”を創出する」という授業が、試験的に開催されました。

また2023年には、埼玉県戸田市の戸田第一小学校で、6年生の児童を対象に「国語」の時間を使って”メディアリテラシー教育”が行われたことが、FNNオンライン(外部リンク)のニュース記事でも報告されています。
文部科学省は現在、情報化社会の新たな問題を考えるための教材(外部リンク)を提供しており、その中でフィルターバブルやエコーチェンバーの課題を取り上げています。デジタルネイティブ世代を正しく導くための施策です。

教育現場でエコーチェンバー現象やメディアリテラシーに関する教育が進められていることは、若年層の情報リテラシー向上に向けた重要な一歩と言えるでしょう。

教育機関や自治体の活動が実を結ぶことに期待したいですね!
まとめ
ソーシャルネットワーク上でアルゴリズムによって引き起こされるエコーチェンバー現象は、「同じ主張や趣味を持つ人間同士」を引き寄せ合う効果を持つ一方、特定の概念が形成されて強固なものへ変質する”負の側面”も持ち合わせます。

私の幼少期には、インターネットを通じて異なる場所にいる人々がリアルタイムで繋がっていく環境が無かったため、社会人になってから「デジタル社会に対するリテラシー」を身に付ける必要がありました。
つまり、現在社会人として活動する多くの人々は「後付け」でエコーチェンバー現象への理解と対策を行う必要があり、そこにこの問題の根深さと難しさが窺い知れます。大半の人々には”自分で意識する姿勢と努力”が求められるのです。

デジタルリテラシーに関する教育を受けていない場合、自分がどのように情報を消費し、どのように意見を形成していくかを見直す必要があります。

若い頃からデジタルリテラシーを身に付けておくことは、本当に大切ですね。
アルゴリズムは悪ではない
最近のXでは、短時間で多くのインプレッションを獲得したユーザーの発言が優先的に取り上げられるアルゴリズムになっていますが、その発言の内容が真実かどうかは全くの別問題であり、そこに”SNSの闇と深刻さ”が窺いしれます。

こういった残念な仕組みはXのアルゴリズムに不備があることを露呈した結果と言えますが、そのアルゴリズムを調整するプログラミングを実行しているのは、AIではなく「人間」なのだということを忘れてはいけません。
Xに限らず、ソーシャルメディアを運営している企業は、高度な機能を持つAIアルゴリズムを「正しく運用できる仕組み」を生み出す必要があります。「どうしてそうなったのか」をユーザーに明示する”透明性の確保”も不可欠でしょう。

アルゴリズムは、あくまで人間が設定したルールに従って動いているだけです。問題は、その設定に意図的、あるいは無意識的な”バイアス”が含まれていることです。
エコーチェンバー現象由来の社会問題を引き起こさないためには、個人の行動以外に企業や行政が課題を認識し、解決に向けたアクションを起こすことが重要です。あなたはエコーチェンバー現象から抜け出すことができますか?

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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