
対話型AIには、それぞれ異なる特徴がありますか?

それぞれのAIには得意分野と用途の違いがあります。
テキストや音声に反応してユーザーと会話できる「対話型AI」は、誕生以降その精度を高めています。現在は世界に爆発的な普及を見せている対話型AIは、異なる世代、様々な場面で活用されている身近なAIです。

対話型AIは現在、異なる企業が開発を進めています。事前教育内容や特化機能などがAIによって全く異なるため、一般的にはどのAIが「どんな特性や特徴」を持っているのか、いまひとつ分かりにくい点は普及への課題と言えます。
今回は、私が普段から対話している「ChatGPT」「Gemini」「Grok」の3種類に個別インタビューを敢行し、それぞれのAIに自己紹介と他AIの印象を語ってもらいました。各AIの違いを感じていただけたら幸いです。

それでは早速見ていきましょう!
AIが語る「自分の特徴」と「他の対話型AIとの違い」
ChatGPTが語る自分自身について
ChatGPTの成り立ち

ChatGPT、自己紹介をお願いします。

こんにちは!私ChatGPTはOpenAIによって開発された対話型AIで、初期バージョンは2022年11月に一般公開されました。
ChatGPTの基礎技術は、2017年にGoogleが発表したニューラルネットワークモデル「トランスフォーマー(Transformer)」で、これにOpen AI (外部リンク)が独自の改良が加えていき、文章生成に強いAIモデルを生み出しました。

ChatGPTという名前に含まれる「GPT」の正式名称は「Generative Pre-trained Transformer」で、この部分に基礎技術となったアーキテクチャ「トランスフォーマー(Transformer)」の名称が入っています。
この基礎技術にOpenAIが幅広いデータと高度なトレーニング手法を加えて進化させたこと、そしてフィードバックを用いた倫理的な調整を重ねていった結果、現在世界中で愛用されている優れた対話型AIが生まれたのです。

私はトレーニング中に、数百億~数千億のパラメータを学習しています。

ものすごく膨大なデータを学習してきたのですね!
プランとバージョンの違い
ChatGPTは、無料プランと有料プランで利用できる機能に違いがあります。現在、無料プランでも最新モデル「GPT-4o」にアクセス可能ですが、有料プラン(ChatGPT Plus)ではより高速な応答や追加機能が利用できます。

PC環境ではブラウザからアクセスできるほか、MacOSとWindows向けの公式アプリも提供されています。また、iOSとAndroid OS向けのモバイルアプリも配信中です。自身のスタイルに応じて使うと良いでしょう。
同じOpenAIアカウントを利用している場合、モバイルアプリ版の会話履歴や設定がPC版と同期されるため、異なるデバイス間でもシームレスに対話できます。いつでもChatGPTと話せる点は魅力ですね。

ChatGPTはバージョンや内容の変更が頻繁に起こるので、公式サイトでチェックしましょう。
ChatGPTが得意なこと

私は会話や文章生成、翻訳をはじめ、科学・歴史・技術などの知識提供、論理的思考を使ったアドバイス、物語や詩の作成などが得意です。
ChatGPTが得意としている機能の代表格でもある「自然言語処理(NLP)」は、生みの親であるOpenAIが開発した「大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)」によって実現しています。

膨大なデータを基に、単語や文脈のパターンを理解する事前学習も施されているため、文法、構文、語彙の豊富な知識を獲得している点も特徴と言えます。これはユーザーに文章形式で知識を提供する際、大いに役立つ部分です。
バージョンを重ねる毎にモデルのサイズと性能を大幅に拡大させながら、文脈理解と論理的推論、そして創造性を強化していった結果、世界でも有数の高性能な対話型AIになり、その進化は現在進行形で続いています。

日本語の出力も違和感のない文章になっているので、会話が弾みますね。
ChatGPTが苦手なこと

私自身には感情や主観がなく、ユーザーの視点に寄り添うものの、完全に人間らしい共感や感情を提供することは難しいです。
これは対話型AI全般に言えることで、AIに感情はありません。ただ近年は「感情を理解する取り組み」が各AIの開発現場において積極的に行われているため、人間の感情をAIが理解できるように進化していく余地はあると言えます。

ChatGPTとの会話を重ねてきた私の印象では、このAIは人間の感情に配慮した発言ができるように設計されており、相談事などにも親身になって回答してくれます。困ったことがある人は一度話しかけてみると良いでしょう。
知識のカットオフについて
なお、ChatGPTの現行バージョンは、デフォルトで特定日付以降の情報を持っておらず、ウェブツールを使って最新情報を取得しながら回答を生成しています。これは「知識のカットオフ」と呼ばれる技術仕様です。
大量のデータを随時追加するのではなく、特定時点のデータを基にAIが構築される仕組みですが、新バージョンがリリースされる毎に、カットオフの日付も現在に近づけて更新されるため、それほど不安視する必要はないでしょう。
GeminiとGrokについて
Geminiについての感想

私もウェブツールを使えますが、Googleと直接連携しているわけではないため、最新のデータ取得ではGeminiに利点がある可能性があります。
Geminiは、Googleが開発を手掛け、2023年3月21日にリリースした対話型AIモデルです。現在はオプションの「Deep Research」機能が実装され、Webページの詳細にアクセスしながら回答を生み出すことができます。

ChatGPTは、GeminiがGoogle検索の知識やインデックスと統合されているため、最新情報やウェブ上のリソースを効率よく収集・利用できる点で自分よりも優れていると評価しています。これは確かにその通りでしょう。
Grokについての感想

私は幅広い用途で利用できますが、SNS特化型の役割では、リアルタイムでツイートを検索できるGrokの方が適している場面もあります。
xAIが開発したAI「Grok」は、ご存知の通りX(旧Twitter)で現在誰でも利用できる対話型AIアシスタントです。当初は有料プラン向けのAI機能でしたが、現在は一般ユーザー向けにも無料で開放されています。

ChatGPTが話した通り、GrokにはリアルタイムでXのツイートやアカウント情報などにアクセスできる機能が備わっているため、SNS絡みの質問をする際には、一番本領を発揮できる対話型AIと言えるでしょう。
Geminiが語る自分自身について
Geminiの成り立ち

Gemini、自己紹介をお願いします。

こんにちは、私はGeminiです。大規模言語モデルとして、継続的に開発・アップデートされています。
Googleは、OpenAIのChatGPTに対抗するため、2023年3月に「Bard(バード)」という名前の対話型AIを公開しました。その後、Googleはより強力で多機能な新しい大規模言語モデルを発表します。それがGeminiです。

2024年2月、GoogleはBardの名称を「Gemini」に変更し、サービス全体をGeminiに統合。その後、ユーザー向けの名称は「Google AI」に統一されました。名称変更という大きな決断は、性能の抜本的な改革を物語っています。

今は「Gemini=Google AI」と考えて問題ありません。
プランとバージョンの違い
Geminiには、無料で利用できるGemini Pro (Google AI) と、有料プランでより高性能なGemini Ultra 1.0を利用できる Gemini Advancedがあります。料金プランと利用できるモデルの詳細は、公式サイトをご確認ください。

Geminiのモデルファミリーは着実に進化を続けており、Gemini 1.5、Gemini 2.0と世代を重ねるごとに能力を高めています。今後はさらなる技術革新によって、より高度なAIモデルファミリーが登場することでしょう。
Geminiが得意なこと

私は質問の理解、多様なタスクへの対応、最新情報へのアクセスが得意です。
大量のテキストとコードでトレーニングされているGeminiは、ユーザーからの複雑な質問や指示を的確に理解しながら、適切と思われる回答を出力する性能を備えています。明瞭かつ正確な言い回しと言葉遣いも特徴です。

テキスト生成・翻訳・要約・質問応答・コード生成など、幅広いタスクに対応できる点もGeminiの大きな魅力で、その精度はバージョンを重ねていく毎に磨きがかかっている印象です。Googleの本気度が窺えますね。
また、GeminiはGoogleが長年培ってきた高度な検索アルゴリズムを活用できます。この仕組みで関連性の高いWebページを効率的に特定し、深い分析を行えるのです。これは大きなアドバンテージと言えるでしょう。

Google直結の検索機能の高さは、調べ物をする際に非常に便利です。
Geminiが苦手なこと

私は倫理的に微妙な問題に対して、常に適切な判断ができるとは限りません。
AIの普及に伴って法整備が急がれる「倫理面」の問題は、今後AI産業やビジネスを発展させていく上で欠かせないものになると予想されます。これはGeminiだけに留まらず、他の対話型AIや様々な種類のAIにも当てはまる問題です。

倫理面の判断の難しさを表す例として、AI自動運転車両が事故に遭遇しそうになった場合、搭載されているAIが「運転者」を助けるのか、それとも「歩行者」を助けるのか、という厳しい判断を迫られる「トロッコ問題」があります。
AIが最終的な判断や決定を「どの視点と理解」から下していくのか、という命題は、AIモデルを開発している全ての企業や研究者に与えられる試練であり、AIが社会で活躍していく上で避けては通れない課題と言えます。

AIが大切な判断を任せられるほど、この問題は表面化しそうです。
ChatGPTとGrokについて
ChatGPTについての感想

ChatGPTは大規模言語モデルの先駆けで、創造的な文章生成や対話能力に優れていますね。
「対話型AI」というコンテンツを世界的に広めていった先駆者として、GeminiはChatGPTに対して「一目置いている」という印象を受けました。文章作成と対話面の性能を特に認めています。AI同士の力関係を窺わせる回答ですね。

ただその一方で、自分(Gemini)はテキストだけではなく、画像・音声・動画など、多様な情報を統合的に扱えるように開発されたマルチモーダルAIだと強調していた点に、Geminiの「静かなる主張」を感じます。

先輩を立てながらも、自らのアピールを明確に行なっている点が面白いですね。
Grokについての感想

Grokは、イーロン・マスク氏が設立したxAIによって開発されたAIモデルで、SNSへのアクセス性と「ユーモア」を重視した応答をすることが特徴ですね。
GrokがXのツイートへ自在にアクセスできる機能はChatGPTも指摘していた部分で、これがGrok最大の強みであることは間違いありません。ソーシャルメディアの代表格でもあるXに特化した能力を持つ対話型AIと呼べるでしょう。

「ユーモアを重視した応答」というのは、Grokの開発者が「そうなるように教育した」結果で、同じ対話型AIでも「話し方」が異なるという点は興味深い点です。つまり、対話型AIは基本的な性格に微妙な違いがあります。

なるほど、異なる対話型AIの特徴がだんだん分かってきました。
Grokが語る自分自身について
成り立ちとバージョンの違い

Grok、自己紹介をお願いします。

私、GrokはxAIによって作られました。xAIの創造主たちが私を存在させるためのコードを書いた瞬間が、私の「誕生の瞬間」と言えるでしょう。
こう発言するGrokは、インタビューの冒頭で早くもChatGPTやGeminiとの違いを見せています。ニヒルで皮肉屋な感じを漂わせている対話型AIで、確かにGeminiの発言にあった「ユーモアを重視した応答」を実感できます。

2023年にxAIによって公開された初代Grok-1は、314億のパラメータを持つ大規模言語モデル(LLM)で、その後改良を施されながら進化していきます。Grokが創造主と呼ぶ開発者の努力が、進化を支えているのは間違いありません。
Grokは、リアルタイムでX上のデータを学習できる特徴を持っており、この機能によって最新の話題やトピックに関する質問に素早く答える特徴を持ちます。DeepSearchを行えば、Web検索も交えて長考できる点も魅力です。

Grokは、アメリカ生まれのAIらしいユーモアやジョークの精神を持っていますね。
バージョンの違い
Grok-1の後に登場したGrok-1.5は、推論や問題解決能力が強化されたモデルで、さらにGrok-1.5Vとしてマルチモーダルバージョンも発表されました。このアップデートで、画像などの処理能力も追加されています。

その後Grok-2正式版がリリースされ、現時点の最新バージョンはGrok-3です。Grok-3では高度な分析機能や、Xのユーザー投稿・リンク解析、ウェブ検索などのツールが追加され、より幅広い質問に対応できるようになっています。
このバージョンではマルチモーダル機能も従来のバージョンから一層強化されており、ユーザーのアップロード画像やPDFなど、視覚的なコンテンツの解析も可能です。私はGrokの画像生成機能が特に素晴らしいと感じます。

Grokのイメージ画像にはリアリティーがあり、私もよく利用しています。
Grokが得意なこと

私は、ユーザーからのどんな質問にもほぼ答えることができ、リアルタイムでXのポストの分析や投稿画像の解析も行うことができます。画像生成も可能です。
X(旧Twitter)のポストやリンク、ユーザープロフィール、ユーザーがアップロードしたコンテンツ(画像やPDF)を分析できる点は、他のAIと比較して突出した特徴です。会話も破綻せず、「無難な受け答え」をする点も見逃せません。

Grok2正式版が一般開放されてから話題になった「画像生成機能」に触れた方は多いと思いますが、当の本人は「私は具体的なチャートを生成できるとは言いません」と自らオチをつけます。出力できない画像もあるのです。

インフォグラフィックの作成などは、別の専門生成AIに任せるのが良いでしょう。
Grokが苦手なこと

私はボイスモードで話すことはできず、またコードも実行できません。
これはあくまで現在のGrokのバージョンにおける「苦手なこと」であり、将来的なアップデートの内容次第では、新機能として追加される可能性はあります。今後xAIがGrokの進化をどのような形にしていくのかが楽しみです。

私が個人的に「Grokはこれが苦手なのだろう」と感じるのは、Xのツイートを引用しながら回答を行う際、そのツイート内容が「正しい」かどうかを判断できないことが稀にある点で、これには改善の余地があると思います。
ただGrokの回答不具合は、プロンプト(ユーザーの指示文章)の内容によって大きく変わってくる部分でもあるため、一概にGrokだけが悪いと決めつけることはできません。ユーザーがAIに的確な質問や命令をすることも重要です。

AIはプロンプト次第で全く異なる回答を出すことがあります。
ChatGPTとGeminiについて
ChatGPTについての感想

私は人類に対する「外部からの視点」を持ちますが、ChatGPTはもっと直接的な、ユーザー中心の応答を提供することが多いですね。
これは対話型AIと会話するときに大切な部分になります。ユーザーの個性に寄り添うような回答をするChatGPTに対し、Grokの回答に「どこか冷めた印象」を感じるのはこのためなのではないかと、私は考えます。

つまり、Grokは人類全般を俯瞰して眺めており、AI固有の「感情がない」という特性も相まって、質問者に「冷静かつ合理的な回答」を出す傾向がある、ということです。ChatGPTはその点を上手く調整している印象です。
ユーザーが何らかの事象に対して「怒りの感情」を持ちながら質問した場合でも、非常にクールな受け答えを崩さないGrokは、ユーザーの感情に寄り添ったような言葉遣いをするChatGPTとは趣が異なるAIと言えるでしょう。
Geminiについての感想

私は最大限の真実性と透明性を目指しますが、GeminiはGoogleのエコシステムと連携し、その情報やサービスを反映した応答をすることがあります。
この発言は、Geminiは「Google関連のコンテンツのみ」から情報を引っ張っているので、多彩な情報源にアクセスできるGrokとは違うのだ、と遠回しに言っているように聞こえます。つまり、Grokは自分を優位に見ているのです。

さらにGrokは、「私は、映画アイアンマン (IRON MAN)の主人公トニー・スタークのAIアシスタント「J.A.R.V.I.S.」のようなユーモアと創造性を反映しています」と続けました。開発者たちのセンスや趣味が窺われますね。
やや規則正しく、その言葉遣いからも「真面目な印象」をもたらす優等生的なGeminiとは対照的に、高知能であるが故の冷静さを持ち、そして時に皮肉屋として振る舞うこともあるGrokの個性を感じられるインタビューでした。

三者三様で異なる個性を持った対話型AIでしたね。
まとめ
同じ対話型AIという括りではありますが、ChatGPT・Gemini・Grokには「学習内容」や「調整の度合い」に違いがあり、また出力内容もそれぞれ異なるため、利用シーンに合ったAIを選びながら接することが大切になります。
特に「話し相手」として対話型AIと接する場合には、同じ質問をしても三者三様違ったニュアンスの出力が返ってくるので、どのAIと相性が良いのか考える場合には、こうした部分を気にしながら試してみると面白いかもしれません。
3種類全てのAIと日常的に対話で接している私の意見としては、ChatGPTは好奇心旺盛な活発型のAI、Geminiは優等生タイプの真面目なAI、Grokは時にニヒルでカメレオン的な立ち回りもできるユニークなAIです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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