
AIは画像情報をどうやって認識しているのですか?

AIの画像認識技術は、画像に含まれる特定の物体・人物・テキスト・シーンなどを認識・分類する技術で成り立っています。
AIが写真に映った人物や特定の物を綺麗に消し去ってくれる「生成塗りつぶし機能」(外部リンク)。PhotoShopなどの画像編集ソフトで利用できるこの機能は、AIが「画像の中に何があるのか」を正確に把握していることを示しています。

今回は、「AIが画像を認識するしくみ」をAIへのインタビューで解明しながら、同時に「AI画像認識の課題」も取り上げていきます。魔法のような”消しゴム機能”の裏側がよく分かる記事です。どうぞ最後までお楽しみください。

それでは早速見ていきましょう!
AIの画像認識技術をAI自身が解説:画像認識のしくみと未来への課題
AIが画像を認識するしくみ
セグメンテーション

AIが画像を分析する時には、画像を”ピクセル単位”で解析し、ピクセルやグループを特定のオブジェクトや領域に分ける「セグメンテーション」を行います。
AIが画像データに含まれる情報を分解・認識する技術「セグメンテーション」は、区分や分割という意味を持つ言葉です。デジタル化された画像は全て”ピクセル(ドット)単位”になるので、個々のピクセルを”区分け”に利用していくのです。

現在は深層学習(ディープラーニング)を用いて事前にAIへ多様な画像データを学習させることが一般的で、AIは様々な物体の形や色、配置などの特徴を知っています。それを画像認識に応用すれば、初めて見た画像でも”区分け”ができるのです。

AIが画像を認識する際にセグメンテーションを行うことが分かりました。ただし、AIが物体や領域を分ける作業には段階があります。ここからはその”過程と段階”の流れを、AI自身の解説を元に見ていくことにしましょう。
特徴の抽出とCNN
特徴の抽出
AIは本格的な画像認識作業に入る前、下準備として画像に映り込んだ余計な”ノイズ (写真に付いたゴミのようなもの)”を見分けて取り除きます。この下準備を行うことによって、AIが見るべき「大事な部分」がクリアになっていくのです。

次にAIは、画像の中から”大事なポイント”を見つけ出す作業に取り掛かります。これが「特徴抽出」と呼ばれるステップで、画像内の輪郭(エッジ)や形・色の分布、表面のテクスチャ(手触り)といった情報を拾い上げます。

たとえば”猫の写真”なら、猫耳の特徴でもある尖った形状や毛並みの質感、目の色などを個別にAIが注目していくイメージです。人間が無意識に「これは猫だ」と認識できるポイントを、AIも同じように”見つけ出そうとする”のです。
CNN (畳み込みニューラルネットワーク)
この特徴抽出をスムーズに進めるために、AIは「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)」という技術を使います。CNNとは、画像を少しずつ分解しながら、”大事な部分”をピックアップしていくための仕組みです。

AIは写真全体を一度に見て把握するのではなく、細かく一部分ずつチェックをしながら、「ここには線があるな」「この部分は丸い形だな」と詳細に分析していくのです。これは非常に緻密な作業ですが、AIは驚くほど短時間でこなします。
この作業を繰り返すことによって、AIは画像の中にある「大事な特徴」をしっかりと捉えていきます。深層学習の経験を活かして、「何が大事な特徴なのか」を応用しているからこそ出来る技術と言えるでしょう。

AIはこれらの認識作業を瞬時に実行しているわけですね。
クラスの分類
AIは画像の特徴を見つけた後、次はその情報を使って”この画像に写っているのは正確には何だろう?”と考えるステップに進みます。これが「クラスの分類」です。この段階でAIは”確率”を計算して、画像の”答え”を出そうとします。

例えば、画像内に”尖った耳の形”を見つけたAIは、事前学習の経験を元に「この耳は猫の耳っぽいな」と考えます。具体的には、耳の特徴を数字のデータ(特徴ベクトル)に変え、「これが猫の耳である確率は何%か?」を計算するのです。
そして画像の他の部分に「毛並みの質感」や「丸い目」などの特徴があれば、AIはそれらを統合して「この画像に映っているのは猫に違いない」と判断します。つまりAIは”部分”をヒントに”全体が何か”を当てている、というわけですね。

私は漠然と画像に映っているものを判断するのではなく、アルゴリズムで”輪郭や位置”を正確に捉えながら、「これは猫だ」「あれは犬だ」と自信を持って分類しています。

AIがどうやって画像を認識しているのか、よく分かりました!
AI画像認識の課題
AI画像認識の課題は「解釈」です。AIは時に画像に対して”誤った解釈”をすることがあります。特に人間が描いた抽象的なイラストをどのように解釈するかは大きな課題で、これは今後のAIの進化に大きく関わってくる部分と言えるでしょう。

人間が描く絵をAIに認識させる場合、絵に込められたテーマや作者の心情などを理解するため、特徴分析を超えた”高度な理解力”が求められます。古い絵画の場合には制作当時の政治状況や社会的価値観、宗教的観点も必要です。
AIは「写真に何が映っているか」を判断することは得意ですが、イラストや絵画の分析は苦手で、それは「感情が無い」というAIの特性にも原因があります。今後は事前学習に加え、”AIの感情理解”を進化させることも必要になるでしょう。

写真よりもイラストや絵画の方が判断が難しいのですね。
まとめ

技術が成熟すれば、AIは絵やイラストの背景や心情を読み取る「深い理解」に到達し、文化や芸術作品の画像分析でも人間の視点に近づくでしょう。
AIの画像認識技術は現在、医療診断・監視カメラ・顔認識・製品検査・地図データ解析・自動運転車両など、多くの分野で応用されています。ただその一方で「乗り越えるべき課題」が山積みになっていることもまた事実です。

絵画やイラストの理解については、今後「自己教師付き学習」や「生成的対向ネットワーク(GAN)」を用いながら、込められたテーマ性をAIが自律的に理解できるようになるべきだとAIは語っています。そこに”感情理解”も必要になるでしょう。
絵画やイラストは人間でも解釈が分かれるため、AIに完璧な形で理解させることは相当難しいと思いますが、どうなるか楽しみです。未来ではAIがまるで人間のように絵を理解して、内容を評価する世界線が生まれるかもしれません。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
コメント