丹念な作業と卓越した技術で人々を魅了し続けている「日本の職人技」は、国内だけではなく世界に誇れるものですが、現在は様々な理由によってその崇高な技術の多くが途絶え、失われつつあります。

今回は、日本の職人技の数々を未来へ残すための考察です。前編で日本職人の特徴、継承に立ちはだかる課題を確認しながら、後編で職人技を後世へ残すための未来予測をAIと一緒に描いていきます。

職人技伝承問題：日本職人の特徴と伝承への課題をAIと一緒に考察

「日本の職人」の特徴と伝承への課題

日本職人の特徴：作品に込められた「職人魂」

職人魂は伝統工芸品に留まらず、和菓子作りや町工場の金属加工、木造建築や手書き看板、ハンドメイドの衣料品製作など、様々な分野に当てはまる言葉で、人間が持ち得る最も崇高な作業への姿勢です。

高度経済成長期を超えて、機械化による大量生産やオートメーション作業が主流となっていく中で失われてしまった「職人魂」と呼ぶべき仕事への姿勢。それは人類が遥か昔から持つ「ものづくり精神」でもあります。

日本職人の特徴と課題：技術を継承する「徒弟制度」

12世紀の中世ヨーロッパでは「ギルド」という組織的な徒弟制度が築かれますが、日本の職人にも同じような弟子入り制度が存在します。ただし、一部の職種は現在も家系のみで継承される厳粛なものです。

後継者不足が問題視されている現在の日本職人界は、旧来の徒弟制度を大きく見直す時期に来ています。伝統が途絶えるのか、受け継ぐ人材を広く求めるのかという”分岐点”が迫っていると言えるでしょう。

日本職人の特徴と課題：言葉に頼らない「暗黙知」

例えば気温や湿度で材料が微妙に変化するとき、肌感覚で対応しながら完成品を目指して調整を行う作業過程は主観的な感覚に依存するため、こうした部分を言葉や書面だけで他者へ伝えることは困難です。

また、本人は説明したつもりでも後継者に伝わらないこともあり得ます。これは元来「職人は口下手」であることにも関係しているかもしれません。「習うより慣れろ」という昔の教訓も立ちはだかります。

前編まとめ

世界に誇れる日本の伝統的な職人技と伝統工芸品は、現代において数々の問題を抱えたまま”継承の危機”に瀕しています。原材料高騰や認知度不足、消費者の価値観変化や継承者不足が主な課題です。

財務省が公開しているPDF(外部リンク)では、日本の伝統工芸品の生産額が最盛期(1983年)の5410億円から、2015年には約1000億円にまで低下していることが分かります。”作り手不在”の状況はかなり深刻です。

後継者が居ないと技術は絶たれます。少々突飛に思われるかもしれませんが、少子高齢化が進む日本で活路を見出すためには、進化が著しいAIロボティクス分野にも継承の門戸を開放する必要があるかもしれません。

後編では日本の伝統技術における後継者不足の突破口になるかもしれない「実習型AIロボット」の可能性について、AIと一緒に考察していきます。果たしてAIはどのような未来を予測するのでしょうか？