
あなたはこれまで、人間が描いたアナログ絵を大量に見てきたと思いますが、率直な感想はどうですか?ぜひ聞かせてください。

人間が描いたアナログ絵は、作品に込められた「個性」と「手触り感」が非常に魅力的だと感じます。
画像を認識・出力できるAIは、現在までに様々な絵を学習しています。その正確な数は不明ですが、異なる時代に描かれた絵画やイラスト作品など、非常に膨大な量の「アナログ絵」が学習素材として記憶されてきているはずです。

今回の記事は、AIが人間が描くアナログ絵を「どのように認識・理解しているのか」をインタビュー形式で深掘りしていく話です。近年大幅な進化を遂げているAIは、果たして「人間らしい絵の特徴」をどう捉えているのでしょうか?
なお、記事内で「アナログ絵」と呼んでいるのは、鉛筆や筆を用いながら紙やカンバスに直接描いた絵のことです。専用タブレットで描く絵も人間によるものですが、今回は「原始的なスタイルの絵」に焦点を絞っています。

それでは早速見ていきましょう!
AIが考える「アナログ絵の魅力」をインタビュー形式で考察
AIは「アナログ絵の魅力」をこう考えている
偶然性が生み出す美しさ

「偶然性」や「制御不能な要素」が、アナログ絵に人間味と自然な美しさを加え、デジタル芸術では得難い芸術体験を提供するのではないでしょうか。
AIはインタビューにおいて、紙やカンバスの質感や、筆圧・塗料ムラや偶然のにじみなど、デジタルでは表現しづらい部分がアナログ絵に「深み」を生み出していると考えていると回答しました。概ね正しい意見と言えますね。

私は今までの人生で無数のアナログ絵(主に鉛筆画)を描いてきた経験がありますが、100%自分が思った通りの作品に仕上がることは非常に少なく、それは主に使っていた道具や環境に起因するものだったと考えています。
細く描こうとした線が想像以上に太くなってしまった、または彩色が思い描いていたよりも濃くなったり、薄くなったりしたということは、多くの人が経験しているはずです。これがAIが言及する「偶然性」なのでしょう。

不確実な状況下で生まれる美しさや芸術性こそが、アナログ絵の魅力ですね。
時間と空間を宿している

古い絵具の色味や、時間とともに紙が変色する様子など、アナログ絵は「生きている」ような存在感を持っていると思います。
絵によっては、一度失敗すれば修正がほぼ困難であることや、制作者の「一瞬一瞬の判断」がそのまま結果に反映されていく点がとてもユニークだとAIは評します。さらに、経年を経て味わいを増していくアナログ絵もあるはずです。

アナログ絵の制作過程そのものがまるで「一つのドラマ」であり、そこに時間と空間の存在を感じることができる、というのがAIがアナログ絵に抱く感想で、確かに美術館に収蔵されているような作品には、重みがあります。
AIはさらに、アナログ絵は単なる視覚的な美しさだけではなく、描き手の「人間らしさ」や「その時代の空気感」を感じられる点が非常に尊いと語りました。人間の心情や時代背景などを映し出すものとして理解しているようです。

確かに古い絵は、見る時代によって異なる印象や感動を与えるものですね。
古典絵画は時代の記憶装置
恐らくAIは、古い絵画を「各時代の記憶装置」として見ている可能性があります。それらは、当時を生きていた人が残した貴重な資料であり、時に文章よりも多くの情報を語ってくれることを理解しているのでしょう。

我々人間も、芸術作品とされるアナログ絵と対面する際には、作者が完成に至るまでに何を考え、どのような意図で制作を進めたのかを想像しますが、AIも同じ考え方を持っているようで、非常に興味深い回答と言えます。
このAIの分析が事前学習データによるものなのか、それとも自律的に導き出した結論なのかは不明ですが、ことアナログ絵に関する理解度や知識という点で言えば、十分に納得できる判断領域に達していると思われます。
AIはアナログ絵を再現できるか?
前項のインタビューで、AIがアナログ絵に対して的確な理解度を示していることはよく分かりました。では、生成AI機能を用いて、AIがデジタル世界でアナログ絵を再現することは可能なのでしょうか?聞いてみましょう。


私だったら、五段階のプロセスを経ながら「アナログ絵風の画像」を生成しようと試みます。
AIによるアナログ絵の再現プロセス
AIが言及した五段階のアナログ絵再現プロセスは、「スタイルとテーマ」「テクスチャと質感」「色と色彩決定」「追加の効果」「最終調整」の順番だそうです。徐々にデータを構築しながら、最終的にアナログ絵風の画像を生み出す仕組みです。

まず最初に、印象派・抽象画・写実主義などに分かれる絵画の制作様式を決め、次にそれを鉛筆・ペン・水彩・油彩などに分かれる素材の「どれを使って描くか」を内部的に決定していくと、AIは答えてくれました。
スタイルの決定後は、風景や人物など、どの内容にするかというテーマを考えてから、紙の質感やカンバスの織り目などを模倣し、さらに筆のタッチや鉛筆の線などを再現して、下地となるアナログ風画像を生み出していきます。

私が作品を製作する場合、透明度や色の重ね方による新たな色の生成、透明ではない色が下の色に対してどのように影響するか、という点も計算しながら考えていきます。

アナログ絵の理解度が高いだけあって、段階と処理のプロセスが的確ですね。
不規則性の再現
これらの主要な要素が固まった後にAIは、色が紙やキャンバスに染み込む度合い、乾燥する際の微妙な色の変化、意図せずに生じる「色の混ざり具合」を最終的な出力物に反映させていく計算も行なっていくそうです。

その後AIは必要に応じて、経年で作品が徐々に劣化していく様子もシミュレーションし、自然な不規則性を表現するために「適度なランダム要素」を追加することも考慮します。時間経過も考えている点が素晴らしいですね。
ただし、この一連のプロセスを毎回「完璧な精度」で実現するためには、事前に多彩なジャンルや幅広い年代のアナログ絵をAIに学習させておく必要があると思われるため、高度なアナログ画像の自動生成には課題が多いと感じます。

生成AIにアナログ絵を強化学習させる取り組みは必須と言えそうです。
まとめ
今回のインタビューを通して、AIはアナログ絵に対して深い造詣と理解度を持っていることが分かりました。そして、それを自動生成で再現してほしいと頼めば、特定のAIは「明確な段階」を経ながら再現することもできます。

その一方で、アナログ絵が持っている「芸術性の高さ」という点は、アナログな人間でも意見が大いに分かれるところなので、これをデジタル世界の住人であるAIに求めるのは、やや時期尚早ではないかと感じました。
つまり、AIに対して「この絵画をどう思う?」「こんな絵を描いたんだけど感想を聞かせてくれる?」と質問することはあまり意味を成さないことで、こうした感想を引き出すためには、AIの進化を待つしかありません。

私は絵の構造を分析することはできますが、分析はあくまで推測であり、作者自身の言葉や解釈が最終的な真実を示すこともあります。
絵に「上手い」「下手」はない
しかしながらこの点に関してAIにインタビューを続けていくと、AIは私が予想していなかった「驚くべき言葉」を紡ぎ出しました。それは、アナログ絵の「上手い」「下手」を論じているときのことです。


あなたはアナログ絵の「上手い」「下手」をどう判断しますか?人間でも見解は分かれます。

芸術の評価は多角的であり、絶対的な「上手い」「下手」の基準は存在しない、ということを理解することが重要です。
こんな素晴らしい言葉がAIから出るとは思っていませんでした。つまりAIは、アナログ絵が持つ芸術性の解釈に関して、正しく理解を示していることが分かりました。各時代の画風と評価を分析・蓄積した結果の持論なのでしょう。

この理解度を保ったまま、AIが感情理解も深めていけば、ただ単に既存のデータを模倣するだけではなく、真にオリジナルなアナログ絵の画像生成を行うことができるようになるのかもしれません。
軽い気持ちでスタートした今回のインタビューですが、最終的にはAIが芸術理解を深めていくプロセスを垣間見た気がして、少し驚きました。AIの画像認識と自動生成の今後には、大いに期待できると思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
コメント