
近代から現在までのリサイクルの歴史を調べていきましょう。

リサイクル産業の原型は19世紀の産業都市に誕生します。その後人類は文明の発展と共にこの循環を一度失いますが、現在はもう一度取り戻そうとしている段階です。
過去編では、先史時代から人類がリサイクルに取り組んでいたことをご紹介しました。現代編の今回は、近代から現代にかけて文明の中でリサイクルがどのように変化を遂げていったのかを考察します。


それでは早速見ていきましょう!
AIと考える「リサイクル」の過去・現在・未来 (現代編)|近代から現代までのリサイクルの歴史を考察
リサイクル産業の始まり|19世紀〜20世紀中頃:イギリス・フランス
文明の大きな転換点となった「産業革命」は、大量生産と都市人口の増加を引き起こします。イギリスでは19世紀、急激な社会構造の変化に伴って、都市部に溢れる廃棄物の問題が深刻さを増していました。

そんな中、廃棄物処理が追いつかない都市でボロ布や金属、ガラス、骨などの雑多な廃棄物を歩いて回収する人々が現れます。「ボロ拾い人 (Rag-and-bone man)」と呼ばれる貧しい身分の人たちです。

ボロ拾い人は歩いて収集したスクラップを中間業者に”重さ”で販売し、これらはリサイクル資源として再利用されていきます。廃品回収制度が未発達だったイギリスで生まれた”リサイクル産業”の始まりです。
フランスのボロ拾い人:シフォニエ
同じ時期、フランスのパリにも貧しいボロ拾い人「シフォニエ(Chiffonniers)」がいました。彼らは法規制から夜間に活動し、雑多な資源(紙にリサイクルできるボロ布など)を回収しながら中間業者へ販売しています。

1884年、セーヌ県知事ウジェーヌ=ルネ・プーベルが各家庭にゴミ箱を支給する法令を出すと、家庭ごみが分別されるようになります。フランス語でゴミ箱を意味する”プーベル(Poubelle)”は、知事の名前が由来です。

フランスではこの法案以降ボロ拾い人の仕事が衰退しますが、イギリスでは1960年代頃までボロ拾い人が活動していました。国政が後手に回る中、市民レベルで始まったリサイクル産業の先駆けと言えるでしょう。

”都市の周縁に生きる人々”であるボロ拾い人の社会的地位は低かったものの、彼らは結果的に資源回収と清掃を同時に行なっていたのです。

産業革命時代の未発達な都市でリサイクルを支えた人たちですね。
リサイクル文化の衰退と「使い捨て文化」の芽生え
木材パルプの台頭|19世紀中頃〜後半:ヨーロッパ・アメリカ
18世紀から19世紀に「新聞と雑誌」の普及に伴う紙の需要が高まり、布から作られる”ボロ紙”の供給が追いつかなくなると、西洋を中心に”材料の転換”が行われるようになります。木材パルプの誕生です。

1840年代の機械パルプ製造、その後の化学パルプ製造方法確立は木材パルプの普及を促進し、紙の材料は布から木材へと転換します。ボロ布の価値は、この素材転換によって一気に下落していきました。

安価に大量の紙を生産できる木材資源は民間のボロ紙リサイクル産業を崩壊させ、街に新聞紙や雑誌、包装紙が溢れていく一方で、紙は「使い捨て(ディスポーザブル)文化」へと傾いていくことになります。

産業革命時代の飛躍の暗部である廃棄物の衛生問題に取り組んでいた各国の政府は、ゴミを”焼却”する方式を推し進めました。木材パルプの原料である森林資源に警鐘が鳴らされるのは、20世紀に入ってからです。


19世紀に生み出されたゴミ焼却炉は、資源回収より衛生管理を最優先に掲げた政府の姿勢を表します。紙は一時的に「循環する資源」から「消費される素材」へ変化していったのです。

紙が進化を遂げた一方、リサイクル文化は停滞しましたね。
使い捨て文化の完成とリサイクルの断絶
プラスチックの誕生と隆盛|19世紀〜20世紀:世界主要国
イギリスの発明家アレクサンダー・パークスがロンドン万国博覧会(1862年)で発表した世界初のプラスチックは、その後石炭・石油の原材料へと置き換えられ、家電製品の部材として実用化を果たします。

第二次世界大戦が勃発すると、プラスチックと同様に石油を原料とするナイロン・ポリエチレン・ポリスチレンなどを製造する化学産業が発展し、これらの化学製品は戦後に民生向けへ転換されていきました。

成形の自由度が高く、鉄と異なり錆びることもないプラスチックは”理想的な素材”として世間に受け入れられ、1950〜70年代の高度経済成長期に入ると、ビニール袋や発泡スチロールなどが広く普及していきます。

製造コストに優れるプラスチックは世界主要国に経済活性化をもたらしますが、過去から続いてきたリサイクルの流れはここで一度断ち切られます。木材パルプに続く大量消費で「使い捨て文化」が完成したのです。

プラスチックの廃棄物が世界的に問題視され始めたのは1990年代以降です。自然には分解せずに微細化して残る特性があり、リサイクルの難易度も高いプラスチックごみは、今も大きな課題となっています。


人類のリサイクル史を俯瞰していくと、20世紀後半にかけて”最大の逆流”が起こっています。特に廃棄物を効果的にリサイクルできなかった時代は、現代社会に大きな影を落としたと言えるでしょう。

世紀の発明が大量消費文化を支えた一方、環境に深刻な問題が起こりましたね。
リサイクル文化の復権
ダンボールの誕生と世界的普及|19世紀〜現在:世界各国
19世紀に”緩衝材”として生まれたダンボールの原型は、その後欧米を中心に進化を遂げ、20世紀前半から従来の木箱に代わる輸送材に応用され、大戦後に世界各国の物流網を支えていくことになります。

全国段ボール工業組合連合会(外部リンク)は、回収ダンボールの90%以上がダンボール原紙へリサイクルされていると発表しています。日本のダンボール回収率は、世界でもトップクラスの95%以上です。

プラスチックとは異なり、”単一素材”に近い形で規格化されているダンボールは、汎用性の高さと”リサイクルを前提にしている”点において、人類が産み出した「ボロ紙以来の素材再生革命」と言えるでしょう。


ダンボールが普及した最大の理由は”畳める”ことです。これは利用者にとっての利便性であると同時に、回収効率を劇的に高める「リサイクルのための設計」でもありました。

ダンボールはリサイクル史における画期的な発明ですね。
現代編まとめ
近代から現代にかけて先進国は目覚ましい高度経済成長を果たしながらも、大量消費文化と使い捨て文化によってリサイクルの輪を一度閉じました。廃棄物の環境汚染問題は未来へと繋がる「負の遺産」です。

その一方、ダンボールのように「過去に存在しなかったリサイクルの仕組み」が生まれ、社会で活用される流れも起きました。復権を果たしたリサイクルの輪は、世界各地でもう一度回りはじめています。

次回の未来編では、”大量消費文化”と”使い捨て文化”を経験し、今また”リサイクル文化”へと立ち返る動きを見せている人類が、未来に向けてどのような取り組みに挑戦しているのかをAIと一緒に考察していきます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


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