
現代のお金について考えましょう。

現代のお金は素材を変え、目に見えないものへ変容し、国境を越えて揺れ動く数字へと進化を続けています。この流れを追っていくと非常に興味深いことが分かるはずです。
過去編では、物々交換から始まった価値観から「通貨」が生まれ、国家の信頼によって経済が発展していった流れをご紹介しました。現代編の今回は、そんなお金が”さらなる進化”を遂げた現在へと迫っていきます。


それでは早速見ていきましょう!
AIと考える「お金」の不思議 (現代編)|様々な形態へ姿を変える現代のお金を人間とAIが考察
「異なる紙」に姿を変えるお金
小切手(一定の価値を持つ紙)
大富豪や商人が「常に現金を持ち歩くことの危険性や不便」を解消するために生まれたと言われる小切手は、そこに記載された金額を持ち主の銀行口座からすぐに引き出せる効果を持つ”紙幣とは異なる紙”です。

過去編に登場した約束手形は基本的に「後払いで利用できる紙」で、小切手は「即時払いが可能な紙」です。どちらの紙も銀行や発行者の信用を宿した”特別なメモ紙”であり、利用者は信用で資産を引き出せます。

※参考文献:「Check」

紙の小切手は昔の映画やドラマによく登場しましたね。
株券(夢を買う紙・価値が変わる紙)
世界初の”株券”を発行したのは、1602年にオランダ領で設立された「オランダ東インド会社」と言われています。大航海時代に貿易を行っていた同社は、事業を拡大・成功させるために巨額の資金を必要としていました。

同社は、「我々に一口出資してくれた人にこの紙(株券)を渡します。貿易が成功して大儲けしたら、その利益を”出資した割合”に応じて山分け(配当)します」という株券購入の仕組みを打ち出し、それを実行します。

ここで登場した株券は「会社の未来に賭けられる挑戦権及び成果の山分けチケット」という性質を持つもので、オランダ東インド会社は、現代ビジネスの基本となる「株式会社」の概念を最初に実行しました。

株券の登場によって、人類は単なる交換手段だけではなく「企業の可能性や夢(期待感)」に対してもお金を支払うようになりました。お金が”物やサービスを買うための道具”から大きく飛躍した瞬間です。
※参考文献:「Dutch East India Company」

株券はお金を「特定の事業を成長させるエネルギー」に変えます。”株式会社”という仕組みがなければ、人類のテクノロジーや医療、インフラの進化は数百年遅れていたはずです。

企業が描く未来に「先行投資」する仕組みが株券の始まりだったのですね。
国家によって価値が変わるお金|為替相場
「今日の円相場は・・」というニュースでお馴染みの”外国為替”は「異なる国の通貨を交換する仕組み」で、日によって円とドルなどの交換比率は変動します。ただし、数十年前までは「1ドル=360円」という固定相場制でした。

固定相場制の背景には、各国の通貨をドルと金(ゴールド)に結びつける戦後の国際通貨制度(金本位制)がありました。主要国は紙幣を一定量の金と交換できる”兌換(だかん)”の仕組みを基盤としながら通貨を交換していたのです。

しかし1971年にアメリカが「ドルと金を交換しない」と宣言(ニクソン・ショック)したことにより、紙幣と金のリンクは切れます。1978年にはIMF協定の第2次改正が発効し、主要国の金本位制は完全に終焉を迎えました。

現在の私たちは円をドルに両替すると「相場によって変わる金額」を手にします。日本国内では一万円は一万円のままですが、外国の通貨に交換する時、経済情勢や需要、金融政策などに応じて交換価値が変動するのです。

※参考文献:「金本位制」

金と通貨を結び付けていた特定の価値観が消えた今、人類は”通貨そのもの”に価値を見出し、それを外国為替市場で相互に交換する仕組みへと変化させています。

外国為替市場の仕組みに「価値観の変容」が起こったのですね。
デジタルになったお金|物質から非物質への転換
デジタル技術の発展は、私たちの身近にあった物質を「0と1」で生み出される非物質の世界へ転換していきます。音楽や映画などのダウンロード販売・ストリーミングはその一例ですが、お金もその姿をデジタルへと変えていくのです。

今や支払い手段として一般的な「デジタル決済」は、銀行口座や決済サービスなどに記録された情報を通じて支払いが処理されます。硬貨や紙幣などの物質を介すことなく、デジタルデータによって”価値の移動”を成立させている点が特徴です。

また、各種サービスから提供される「ポイント」は、一定条件を満たすと会計時に割引として利用できます。ポイント自体は通貨ではありませんが、通貨とは性質が異なる”デジタルマネーの一種”と言えるでしょう。

最近は現金の出番が少なくなりました。お金の価値を記録する媒体と交換するシステムをデジタルに転換した人類は、テクノロジーで「通貨の非物質化」を加速させたのです。

確かに今のお金はほとんど”数字とデータ”になっていますね。
暗号資産「ビットコイン」の誕生
2008年、サトシ・ナカモトを名乗る人物がインターネット上に論文を発表します。それは、国家や中央銀行が管理しているお金とは全く異なるルールで運用されるデジタル暗号資産「ビットコイン」の理論でした。

ビットコインは、不正や改ざんが極めて困難な”ブロックチェーン技術”と、運用に参加する人々の信頼と監視の上に成り立つお金で、国家などの”中央集権型”ではない「分散型」の仕組みを持つ”お金の新たな派生系”です。

ビットコインは交換業者を通じて日本円やドルなどの法定通貨で購入します。購入後はデジタル上のウォレットで管理を行う流れで、対応店舗で決済に利用したり、個人間で送金したり、他の暗号資産や法定通貨に交換できます。

通貨は信頼で成り立ちます。紙幣・硬貨・株券などの場合、信頼の源は国家や企業にありますが、ビットコインのような暗号資産は、インターネット上に参加する人々の信頼で支えられている点が異なるポイントです。
※参考文献:「Bitcoin」

サトシ・ナカモトという人物の正体は現在も不明のままですが、ビットコインに代表される暗号資産は、今や「デジタル空間上の価値の一つ」としてネット上で機能しています。

人類は”お金の在り方”に様々なバリエーションを生み出しましたね。
現代編まとめ
人類は近年、目に見える物質世界だけではなく、非物質のデジタル空間にも”価値の交換ネットワーク”を広げてきました。「お金とは手で触れられるもの」という定義は曖昧になり、多くのお金は今「情報」へと姿を変えています。

お金の進化はまだ続くのでしょうか?次回の「未来編」では、AIがデジタル空間で人間と共に活動していく場合、人類はお金に対してどのような”新しい価値”を見出すのかについて、AI本人と一緒に考察・予測していきます。

最後までご覧頂き、ありがとうございました!


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