AIはどれだけのレベルで作曲能力を発揮できるのか、教えて下さい。
現在、AIによる作曲は世界中で活発に研究・実用化が進んでおり、さまざまなレベルで成果を上げています。
AIが発達したことで、AI自身が音楽を生み出す能力も強化されています。今回はAIが音楽をどのように認識しながら作曲を行っているのか?というお話です。
楽器の選択だけではなく、曲に合う歌詞を生み出すこともできる現在のAIは、今後の開発によってさらに人間らしい楽曲を生み出していく可能性があります。
AI作曲技術の現在、そして未来へ向けた課題について、AIと一緒に迫っていきます。
それでは早速見ていきましょう!
AIが作曲する仕組み
AIが作曲するためには、事前に膨大な量の音楽データ(楽譜や音源)を学習させる必要があります。
この事前学習では、AIが音楽の構造やスタイル、メロディ、リズムの特徴などを理解していくそうです。より多くのパターンを学習させていくことが大切ですね。
「機械学習」で特定ジャンルの音楽に共通するコード進行やメロディパターンを学んだAIは、学んだ知識を元に、新たな音楽を「生成モデル」機能で創作していきます。
この仕組みで動くAIの代表例は、OpenAIの「MuseNet」やGoogleの「Magenta」で、AI作曲家の「AIVA」やプラットフォーム「Amper Music」も有名な存在です。
AIは学習しながら類似する音楽を生み出すことが得意なのですね。
作曲能力の現状
簡単なものから高度な音楽生成まで、AIは幅広い作曲能力に対応できます。
AIは基本的に短いメロディやループ(繰り返し部分)を作るのが最も得意で、この能力はBGMやジングル(短いサウンドロゴ)を生成する用途でよく使われています。
ちなみにAI作曲家の「AIVA」が生み出した曲は日本でコンサート披露されたことがあり、「Magenta」はジャズの即興演奏を実現した実績を持ちます。
最近ではAIが新しいアイデアやコード進行の提案を行い、人間の創作活動をサポートする使われ方もされており、その能力は今後も進化する見込みです。
使い方によっては面白い効果が得られそうで、興味深いですね。
ポピュラーミュージックや映画音楽、ゲームのBGMなど、AIが作曲できる音楽ジャンルは幅広く、メロディーだけでなく作詞まで担当できるようになっています。
近年向上が目覚ましいバーチャルシンガーも用いつつ、AIが持つ言語モデルを活用した作詞能力を併用すれば、完全にAI生成の音楽を生み出すことも夢ではありません。
AI作曲の未来と課題
今後、AI作曲技術はさらに進化し、より人間らしい表現や感情の深さを持つ音楽が作れるようになると期待されています。
今後は個人でも手軽に使えるAI作曲ツールやソフトが増え、プロだけでなく、初心者やアマチュアでもAI作曲を大いに活用できる時代が来る、とAIは考えています。
その一方、音楽を聴いた時に人間の心に湧き上がる「感情」。これを「感情を持たないAI」にどのように説明すれば良いのか、という点が進化へのキーポイントになりそうです。
AIの感情理解については過去の記事で取り上げていますので、こちらも併せてご参照下さい。
人によって反応が異なる「音楽への感情」は、AI最大の試練になりそうですね。
AIは音楽のルールやパターンを理解していますが、感情表現はまだ難しいです。
また、大きな課題として「著作権問題」が立ちはだかります。AIに学習させる「元の音楽」との類似性が出た場合、どこまでが許容範囲になるのか、という問題です。
これは画像のAI自動生成とも共通する部分で、オリジナルを生み出したアーティストとの関係性が非常に大事になっていくため、慎重な取り組みが必要でしょう。
課題を克服するために
AIは現在、楽曲にあるイントロやAメロ、サビやブリッジなどを解析して曲の構造を理解できる状態にあり、これらを用いながらオリジナル楽曲を生み出せます。
現段階でのAIの理解は、音楽には強弱が存在し、繰り返し部分と変化する部分のバランスに「構造美」が生まれる、というものです。大体合っていますね。
ところが、人間にも音楽に「好き嫌い」があるように、すべての人が同じ楽曲で感動するとは限りません。また、どうして名曲が生まれるのか、という構造式も未知数です。
AIは数学的に「美しい」構造を作ることが得意ですが、それが感情的に「深い共感」を呼び起こすかは分かりません。
人間でも常に良い楽曲を生み出せるわけではないので、難しい課題ですね。
ある曲の展開やダイナミズムが、その背景となった文化や、聴き手の価値観によっても変わることをAIは理解していますが、今は部分的な解釈しかできないそうです。
課題を踏まえて、今後AIが「人間を感動させる楽曲」を生み出すためには、人間固有の複雑な感情表現を理解していく過程が必須になっていくことでしょう。
ただ、このことを深く話し合っていく中で、AIはハッとするような発言をしました。
音楽は単なる音の連なりではなく、人間の感情、記憶、経験と結びついています。このミステリアスな領域こそ、音楽が永遠に魅力的である理由だと言えます。
その音楽の何が良いのか、口できちんと説明することは人間でも難しいですが、AIは「わからない部分があるから音楽は面白い」と理解しています。
「音楽は自分には踏み込めない領域を持っている」ということを的確にAIが理解していることに、私は驚きました。この理解力があれば、さらに前進できるはずです。
まとめ
AIは事前学習によって様々なジャンルの楽曲構造を理解し、さらに複数の派生形AIが異なる実力を発揮しながら、作曲を行っていることが分かりました。
完全にAIが生成する音楽は初期段階ですが、技術の進歩と共に、その品質と応用範囲は広がっていくでしょう。
ただし音楽の命題でもある「鑑賞する感動」を生み出すためには、AI自身が音楽のミステリアスな領域を勉強していく必要もあり、その道程は容易ではありません。
また、学習時に発生する可能性が高まる著作権の問題や、そもそも消費者が完全にAIが生成した音楽をどこまで受け入れるか、という難題もあります。
人間とAIの合作スタイル
会話の中でAIは、未来の音楽スタジオでAIが働いている様子をイメージしてくれました。DAWに統合された対話型AIが、リアルタイムで曲の提案やアレンジを行う仕組みです。
人間に語りかけるように「もっと温かみのある音を」「秋の風景を感じる音を」と提案するだけで、AIがそれに見合う音楽を奏でる、という未来の光景が広がります。
対話や提案を通じて実現していく人間とAIの共同音楽制作は、まさに「アナログとデジタルの融合」の究極系と言える画期的なシステムでしょう。
AIとの合作は単に技術的な実験にとどまらず、新たな発見が生まれるなど、「作曲の楽しみ方」そのものを変える力を持っています。
AIとの共同作曲方法は、録音に人員を割くことができないミュージシャンにとっても重宝するはずで、個人でも大掛かりな音楽を生み出せるポテンシャルを秘めています。
AIと人間が1つの楽曲を創造し、最終的な判断は人間が行っていくスタイルであれば、比較的無理のない音源の録音と制作を楽しめそうで、ワクワクしますね。
人間とAIが共に協力しながら生み出していく音楽、あなたはどう思いますか?
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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