AIと考える音楽ファイル形式の未来

圧縮された音楽ファイルは原音の忠実性を失い、高音質なファイルは容量が大きい。デバイスへ音楽を保存する場合、このバランス問題で揺れる人も多いでしょう。

今回の記事では、現在の代表的な音楽ファイルの形式をおさらいしつつ、AI技術が進化することで実現するかもしれないファイルの新形式について掘り下げていきます。

もしかたら、将来的に問題をすべて解決してくれるファイルが現れるかもしれません。

現在の代表的な音楽ファイル

音楽ファイルには「可逆圧縮」「非可逆圧縮」に分かれる特性があり、データ容量を大幅に削減できる非可逆圧縮形式は、その見返りとして音質を若干犠牲にします。

ちなみにAppleMusicでは、非可逆圧縮のAACと、16ビット/44.1kHz (CD 品質) から最高24ビット/192kHz(ハイレゾ)の解像度を持つ可逆圧縮のALACを利用可能です。

CDやアナログを取り込んで高音質にデジタル化する場合、原音を忠実に再生してくれるファイル形式を選択することが必須になると言えるでしょう。

最終的に音楽を再生するデバイスやPCのOSによっても選択肢が生まれてくるため、かなりややこしい話ですが、MacとWindowsで両方活用できるWAVとFLACは有力候補です。

膨大なコレクションをスマホに取り込んで聴く場合にはMP3やAACが重宝されることも多く、音質重視か曲数重視かで見解も別れるでしょう。

私は主にMacを使っているため、アナログをデジタル化する際にソフトでFLAC形式を使い、ALACの16ビット/44.1kHz形式で最終的なファイルを出力しています。

一時期はハイレゾ音源に凝っていたこともありましたが、私が好きなジャンルでは優位性を感じなかったため、CDと同じサンプリングレートに落ち着いています。

ただし、アナログを限りなく本来の音質に近づけた状態で記録したい場合には、ハイレゾ相当のサンプリングレートで記録するのが効果的でしょう。

ファイル形式の未来

可逆圧縮
FLACやALACが主流ですが、より高い圧縮率と音質を両立できる新たなコーデックが登場すれば、同じ音質でもより小さなファイルサイズが実現できるでしょう。

一度圧縮されてしまうと、元の音質を維持できない点が非可逆圧縮最大の難点なので、可逆圧縮のファイルをさらにサイズダウンできる未来は嬉しい限りです。

ファイルの圧縮技術に革命的な進化が生まれた場合、非可逆圧縮ファイルの形式は、過去のものになる可能性があるかもしれません。

可逆圧縮のファイルサイズを小さくするための具体的な方法論は何なのか、AIに質問していきましょう。もしかしたら将来実現するかもしれません。

AI圧縮
AIを使って楽曲の特徴を分析し、不要な部分は圧縮し、重要な部分のみを高音質で保持する圧縮技術が開発される可能性があります。

これは以前の記事でお話ししたAIを活用するノイズ除去の未来とも似た展開です。一律で圧縮をかけるのではなく、異なる比率で圧縮するというのが面白いですね。

楽曲の個性や特性、そして記録されたデータを緻密に分析しながら仕分けしていく作業には、膨大な機械学習の手間がかかりそうですが、不可能ではないはずです。

AIはこの技術に繋がる事例として、Googleが開発した「Lyra」を挙げており、音声を超低ビットレートで圧縮する技術が音楽にも応用される可能性を見ています。

その他の未来予想

ストリーミング技術の進化
音楽データを手元に保存するのではなく、クラウド上に高音質データを保存し、必要なときにリアルタイムでストリーミングするのが一般的になるかもしれません。

ストリーミングは今や一般的なスタイルとして定着していますが、こと音楽の再生においては通信速度とデータ容量の壁が未だにネックだと感じます。

上記の新たなファイル形式が誕生するのが早いか、それとも大容量のデータを瞬時に転送できる通信技術の進化が早いのかが、今後の注目ポイントと言えるでしょう。

クラウドのデータ量を削減するため、音楽ファイルを新たな圧縮技術でサイズダウンさせつつ、呼び出し時には瞬時に元のデータへと戻す、という可能性も見えてきました。

まとめ

今回は、音楽ファイル形式の種類とその進化の可能性について、AIと一緒に考えてみました。ここで提示された技術の一部は、今後実現するかもしれません。

FLACやWAV形式で音楽ファイルが歩留まりになることは考えにくいため、近い将来すべての人が納得できるような、新たなファイル形式が誕生するでしょう。

圧縮と展開をスムーズに行える万能なファイル形式の登場に夢を膨らませつつ、今回はこれでお話を終わりにしたいと思います。

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