アクティブノイズキャンセリングにAIはどれだけ関与していますか?
AIを活用した高度なノイズキャンセリング技術は、世界のオーディオメーカーが積極的に取り組んでいる分野です。
Appleの新製品AirPods 4には、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載するモデルが存在します。このモデルに用いられているのが、AIを活用する「H2チップ」です。
AIがアルゴリズムを活用しながらリアルタイムで周囲の音を分析し、ノイズの種類やパターンを理解してノイズを低減することを、アクティブノイズキャンセリングと呼びます。
今回は、AIの進化と共にその性能を著しく高めている「アクティブノイズキャンセリング機能(ANC)」について、AIと一緒に考えていきます。
それでは早速見ていきましょう!
ノイズキャンセリングの仕組み
一般にノイズキャンセリングは「パッシブ」と「アクティブ」の2種類に別れます。前者は物理的なノイズ遮断を、後者はデジタル処理を用いたノイズ除去を指す言葉です。
ANCという略語で表記されることもあるアクティブノイズキャンセリング技術は、ノイズの逆位相となる波形を生み出し、それをノイズに当てて相殺するメカニズムです。
環境に応じてノイズ処理を効果的に行う仕組みがANCですね。
AIを用いたノイズキャンセリングでは、ノイズパターンを学習し続けることによって、より高度なノイズ除去機能を実現します。
ANCを採用している主要企業
近年はAIを活用した高品質なANC機能が実現しており、オーディオ分野に製品を展開しているメーカーが積極的に採用しています。代表的な企業を見てみましょう。
Apple
AppleがANC (アクティブノイズキャンセリング機能)を打ち出した製品を初めて発表したのは2019年。初代「AirPods Pro」のH1チップで実現させました。
Apple独自のチップであるHシリーズのANC機能は、単にオーディオ再生の領域に留まらず、声の成分を分離することで通話音声品質を向上させることもできです。
低音域に分類される環境音の低減を得意とし、必要に応じて外部音を取り込むこともできます。
現在は一部の無印モデルとPro、Maxの全種類で独自のANC機能を体験できます。
Sony
ソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM」シリーズも、AIを活用した高度なノイズキャンセリング機能を実現している人気モデルです。
ユーザーの行動や場所に連動しながら、事前に登録したANC、外音取り込み、イコライザー設定へとスムーズに切り替わる「アダプディブサウンドコントロール」が特徴です。
統合プロセッサーV1の実装で、これらの機能にさらなる磨きがかかりました。
環境に応じた柔軟なノイズキャンセリング機能が魅力ですね。
Sennheiser (ゼンハイザー)
75年以上の歴史を持つドイツのオーディオメーカー「ゼンハイザー」は、MOMENTUM(モメンタム)シリーズの最新モデルでANC機能をさらに強化しています。
周囲の騒音に合わせてノイズキャンセリング機能を搭載チップが自動調整する「アダプティブノイズキャンセリング」が特徴で、外出時の音楽鑑賞がさらに楽しくなります。
ヘッドホンを外すと自動停止、装着すると自動再生するスマートポーズ機能も魅力です。
本体の設計を見直したことで、ANC機能を最大限に活かしています。
これらの企業に共通している点は、多彩な環境音への対応をシームレスかつスムーズに実現していることで、以前は難しかった「シーン別の利用」が容易になっています。
上記以外に人気企業のBOSEもANC機能を順当に進化させており、イヤホンやヘッドホン、特にワイヤレス型のデバイスで、ノイズキャンセリング機能が強化されています。
各企業が独自開発を進めているという点で比較するのは難しいですが、今後AIが進化することによって、より高性能なANC機能が登場するのは間違いないでしょう。
AIの進化は、従来のANC機能をさらに洗練されたものにするだけでなく、よりパーソナライズされたリスニング体験を実現する可能性を秘めています。
アクティブノイズキャンセリングの課題
音楽が好きな人にとって、最良のリスニング体験はノイズが発生しない静かな環境で音楽鑑賞を楽しむことです。ANCはこれを屋外でも実現してくれる機能と言えます。
ただ、人工的に生成された逆位相の波形でノイズを消す際、楽曲が元々持っている波形は絶対に損なわれないのでしょうか。気になったので聞いてみました。
AIのアクティブノイズキャンセリング機能を働かせながら音楽を再生している時、原曲の成分を誤ってカットすることはないのでしょうか?
ノイズキャンセリング機能が原曲成分をカットする可能性はゼロではありませんが、最新のAI技術や最適化により、その影響は最小限に抑えられています。
フィードフォワードとフィードバック
イヤホンやヘッドホンの外側にマイク(センサー)が設置されている場合、ANCは「フィードフォワード方式」と呼ばれる仕組みで行われます。
これは外部の音を拾いながら、その逆位相となる波形を生み出してぶつける基本的な方式ですが、これだけだとANCの機能が万全に働かないこともあります。
製品の内側にマイクが設置されている場合は「フィードバック方式」と呼ばれるANCを行います。音楽とノイズ両方の成分を抽出しながら機能していく点が特徴です。
これら2種類の方式をミックスした「ハイブリッド方式」もあります。
自他共に認める「耳の良い人」であれば、アクティブノイズキャンセリングがもたらす原音への些細な影響を感知できかもしれませんが、大多数の人は大丈夫そうです。
今この瞬間も「さらに高度なノイズキャンセリング技術の実現」に向けた研究が世界中で行われているはずなので、ANCのさらなる未来が非常に楽しみですね。
ワイヤレス製品でネックになっている「バッテリー消耗が早まる」問題の解決も強く望まれます。
ANC非搭載モデルの今後
アクティブノイズキャンセリング機能が猛威を振るう一方で、この機能を搭載していないモデルも多数出回っています。これらの製品の今後を見てみましょう。
AIで進化するヘッドホンやイヤホン製品がある一方、アナログ的な作り方をしている製品にも十分な需要が見込めますか。
アナログ的な作りや特徴を持つ製品も、十分な需要を保ち続けると考えられます。
音質の追求
従来のイヤホンやヘッドホンは、音質にこだわるオーディオ愛好家にとって、引き続き魅力的な選択肢となります。
オーディオマニアは、AIやデジタル補正を必要としないピュアなアナログサウンドを好む傾向がある、というのがAIの持論で、私も同感です。
高品質なドライバーや素材を用いた「音響技術に重点を置く製品」は、これからも原音再現を重んじる音楽愛好家にとって、有力な選択肢であり続けるはずです。
どちらかと言えば私もピュアサウンド重視の製品に惹かれる・・。
クラフトマンシップ
レザー、ウッド、金属などの高品質な素材を使い、丁寧に作られた製品は、その独自性や高級感によって他製品との差別化が可能です。
私は外出時のイヤホンとして、JVCのWoodシリーズを愛用しています。振動板やハウジングに「木材」を使用している点が特徴で、マイルドな音色がたまりません。
所有モデルはANC機能非搭載なので、遮音性に優れるイヤーピースに交換するなど、自分でパッシブノイズキャンセリング面を工夫しています。
これまでに様々なイヤホンで音楽を聴いてきましたが、ANC機能を持たないこのモデルが自分にとって理想的な音を出すので、しばらく買い替えるつもりはありません。
ちなみにANC機能を搭載しているモデルもあります。
デジタル技術の粋を極めたANC機能を持つイヤホン、ヘッドホン製品が大幅な進化を続けていく一方、従来のアナログな製品たちにも十分な需要があります。
ANC機能が本当に自分にとって必要かどうか、普段の利用シーンを想像しながら製品を選んでいけば、満足できる買い物になるでしょう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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